【マネジメント】インテルで学んだグローバルリーダーシップ論 第9回:「やめるべきことはなんですか?」ベンチャー経営者に気づきを与える10の質問。(前編)

ベンチャーの中で実際に振り返りとコーチングによって、どのようにリーダーが気づき、組織力を向上させたのか、具体的な事例をみていきました。今回はその中でも、自分の行動を深く内省してもらうための重要な質問例をあげてみます。質問には、答えを考えさせる質問と、ただ服従させる質問があります。ベンチャー組織内で思考をとめる質問をされ続けると、モチベーションと生産性が落ちてしまいます。

本記事は新しい働き方ぜんぶがわかるメディア「ビジネスノマドジャーナル」さんの提供で配信しています。

リーダーがしてはいけない悪い質問「なぜもっと頭をつかわないんだ?」

悪い質問をしないようにすることも大事です。「なぜ、----できないんだ」という質問は、相手の思考を停止させます。「一生懸命やっているのか?」、「しっかりしてるか?」、「気合が入っているか?」なども同様の悪い質問にあたります。
言われた方は、何を具体的にやればいいのか理解できずに終わります。誤解しようのないレベルでの作業や行動、あるいは、どこまで理解しているかを順序だてて確認しないと、次の行動に進めないし、成長実感がわきません。

1. 課題について考える質問:「今の達成度合いは何%で、100%になるには何が必要ですか?」

これは、現状と、将来のギャップがなにかを考えてもらうための質問です。たとえば、60%だとしたら残りは何が足りなくて、始めるには何が必要かとか。できるだけ具体的なイメージをもってもらいます。
まったく見当がつかなくて、なんとなくモヤモヤしている人には、目標のイメージがしっかり浮かぶかの質問をします。「キーワードは何ですか?」など、課題や、問題、悩み、ビジョンなどを伝えるさいに、「要するに」で、一言でまとめられるものを自分で考えてもらえます。

2.内省してもらう質問:「それはあなたの責任ではないですか?」

よくある自分本位なリーダーは、「自分はちゃんとやっている」が、チームに活気がない、あたらしいアイデアがでない、積極的ではない、など、自分ではなく部下やまわりのせいにする場合があります。自分はなおさなくてもよいから、チームや部下をコーチングしてくれと。

しかし、組織のトップの行動が改善されないと、チームの成果は絶対あがりません。新しいアイデアを常に批判していると、最終的には誰も何も出さなくなります。
「なぜアイデアがでないのでしょう?」、「あなたにはなにかできることはありますか?」、「それは本当に部下の責任なのですか?」など、リーダーの責任についての質問をしながら尋ねます。優秀なリーダーであるほど、短期間で理解して、アクションを起こします。

「5年後の自分からどういうアドバイスがありますか?」はどうなりたいかを具体的にイメージしてもらうためにする質問です。この質問をすると、回答者が若い人だと、「よく頑張ってるな。もう少しだ。」とか。「その調子だ。」とか前向きなものが多いですが、これがシニアの方だと、「周りをよく見ろ」、「休んでいいんだぞ」、「気にするな」とか一歩引いたメッセージになるのも面白いです。

3.ゴールについての質問:「成功のあとのイメージはどんな感じですか?」

成功するためのいろんなステップや、短期的ゴールを考えることも大切ですが、この質問では、成功のあとのイメージを具体的に考えてもらうことで、大きなワクワクする感じを話してもらいます。
何をしたらいいのかを考える前に、相手やチームも含めて、どんな気持ちになるかを考えてもらいます。優秀な人ほど、戦略や戦術をつめているのですが、気持ちについてはっきりとしたイメージを持っていない場合があるので、そこに立ち返るのです。

「1年後を、イメージして、メッセージを発信することによって、どういうふうな声があがってきてるのが理想なんでしょうか?」は時間軸版です。理想的な姿や、成功のイメージを想像してもらうことで、どういうメッセージを周りに発信するべきか考えてもらいます。
あるケースでは、1年後にも同じことを言っているのではなくて、事業の方向性についてみんなが腹落ちして、現場から改善案や意見が自発的にでてくることだと想像されました。

「誰から一番ありがとうと言われたいですか?」長い間後継者を見つけられない経営者の方でしたが、この質問をすることで、地域の顧客と、職員に一番幸せになってほしいという本当の気持ちに気づきかれました。そのためには、みんなを安心させるためにも、しっかりした引き継ぎ計画をつくっていかないといけないということを実感されました。

4.優先順位を考える質問:「やめるべきことはなんですか?」

目標を設定して、行動計画をたてるときにあれもこれもいれないと気がすまない人がいます。新しいことはたくさんできません。漏れがあるようで不安なのはわかりますが、何をやめるべきか考えることで、方針転換や行動変革ができる場合が多いです。
「やらなければいけないと思って、できていないのはなにですか?」やることがたくさん山積みになっていると、どうしても緊急度の高いものから、処理していくことになります。

気にしていても、なかなか手につかないもの(中長期的な目標や、健康管理、家族サービスなど)、すぐに結果がでないものは、ないがしろになる傾向があります。そういうときに、課題を見える化して、毎日の習慣のなかで時間をさけるように、自覚してもらうのです。

「この半年でどうしてもやらなければならないことは何ですか?」ただ「やらなければいけないことは何ですか?」だと、必要もないものも含めて全てあげてしまいがちです。「どうしても」や、「絶対にやりとげなければいけないこと」など、副詞をつかうことで、真剣に内省する度合いがちがってくるのです。

「今のままでいけない理由は何ですか?」その課題が本当に解決しなければいけないものか確認します。自分の見栄やプライド、他の人からどう見えるかなどが原因に成っている場合があります。この質問によって、もう一度問題を再定義してもらいます。

5.相手の立場を考える質問:「あなたが部下だったらどうしてほしかったですか?」

部下の身になって、自分のリーダーシップで、本当にモチベーションがあがるかとか。お客は本当にそのサービスがほしいのかとか。逆の立場になれる質問を与えることは非常に有効です。立場を変えることで、自分と相手の利益が相反する場合の状況をかえりみることができるからです。
「作る」と「売る」や、「育てる」と「使う」など、相反する考えの中で、手段が目的化するのを防ぐため、自分の考えから幽体離脱してみるのです。

たとえば、新入社員のトレーニングなどで、どうも興味がなさそうだ。一生懸命やってくれない。「自分が新入社員だったときはどういう風に指導されたり、アドバイスしてもらったときがうれしかったでしょう?」と考えてもらいます。
「それで本当に部下のモチベーションがあがりますか?」、「あなたが部下だったら、今自分の下で働きたいですか?」、「部下からどういう声が聞こえてきそうですか?」というのも、いい質問です。

部下が現場で自発的にうごいてくれないとか。ディレクションをわかってくれないという懸念に対して、自分を振り返ってみると、自分から話しかけたり、相談にのっているなどの行動をしていると思い込んでいる場合が多いです。

「部下との距離感はどれぐらいですか?」という質問もあります。「部下との関係がしっくりこない。」、「何を考えているかわからない。」、「なんとなくモヤモヤしている」とか、「透明な壁がある感じ。」、「空気が違う感じ。」など、人によっては、現状の距離感を話してくれます。
中には、「銀河系の果てまで行ってしまった感じ」などと言う人もいます。つまりは部下の考えがまったく見当がつかめず、異星人のように感じるそうです。改めてこの距離感を自己認識しておくことが必要なのです。

次回も、もう少し具体的な質問例を挙げてみます。
(次回へ続く。本連載は週1回の更新を予定しています。)

【2026年のワークスタイル】第1回:研究職からコンサルタントへ―「20代からのパラレルキャリア」のススメ 八子知礼氏 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

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でテクノロジーの進化がもたらす新時代のワークスタイルを予見した、シスコシステムズ合同会社・戦略ソリューション・事業開発ディレクターの八子知礼さん。「働くこと」「生きること」への価値観が多様化し続ける今、予測される新たなワークスタイルの潮流とは何なのか。ご自身のキャリアを振り返りながら、じっくりと語っていただく。第1回では、八子さんのキャリアの源流である松下電工時代から、コンサルティング業界へ転身するまでのエピソードを伺った。
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