【マネジメント】インテルで学んだグローバルリーダーシップ論 第8回:「シリコンバレーでも当たり前に。ベンチャー経営者向けのコーチング」(後編)

今やシリコンバレーでも当たり前になっているエクゼクティブコーチング。 インテルと同様に、Facebook、LinkedIn、Googleなどの企業でも、成長過程では、ディレクター以上の経営陣は、1対1のエグゼクティブコーチングを会社の経費で受けられるようになっています。コーチングを受けると、相手を自分の思うように変えようとするのではなく、自分の側の行動と人との接し方を変えることによって得られる、周りの変化に初めて気づくことができます。 前編に続き、後編でも、若手エンジニアやCTOも含めて、ベンチャーの中で実際に振り返りとコーチングによって、どのようにリーダーが気づき、組織力を向上させたのか、具体的な事例をみていきます。

本記事は新しい働き方ぜんぶがわかるメディア「ビジネスノマドジャーナル」さんの提供で配信しています。

トラウマに気づかせ、自信をもつ

起業家のDさんですが、過去にあった失敗の経験や、途中であきらめたり、夢が叶わなかったことがトラウマとなって、自分で自分に自信をもてない傾向がありました。

過去のできていることや、小さな目標を達成できたことを思い出してもらって、今日できる小さなことから実行してもらうことにしました。

その結果、6か月の間に、自信を持てるようになったことや、仕事に対しての心構え、学生への接し方などが 大きく変わったと実感したそうです。

決断を早くする。「周りに合わせる」タイプの経営者の変革

Eさんは当初はデザイン系ベンチャーのNO.2でしたが、コーチングを受けて自分が本来やりたかったことや過去の経験などをふりかえりました。そのあと、自分で動画教育系ベンチャーを起こし、多方面に活躍しはじめています。

Eさんは、非常に穏やかな性格なので、理想像は常にありつつも、日々の業務、日々の環境、他人の文化に合わせる傾向があり、本来の自分を見失っていたそうです。「そうだよね、俺ってそうだった」と頭ではわかっていましたが、第三者にヒアリングをしてもらうことで、客観視できて、改めて次なる行動へ繋がりました。

また他のエグゼクティブクラスの事例を交えることで、がんばろうと思っている自分にとって、腑に落ちる内容が多かったらしいです。決断スピードが上がったことと、気づきから決断、そして最終行動までの迷いが減りました。

自信をつける。若手エンジニアにとっての気づき

スタートアップに入社して2年目のF君は、最近かなり積極的にセミナーや勉強会に出たり、資格を取ったりしています。入社時はかなり頼りなさそうだったのですが。
彼になぜコーチングが君にとって意味があるのかを聞いてみました。彼の答えは、「自分はエンジニアで、あまり人に自分の考えを話す機会がない。だから、目標やゴール、できていること、できていないことなどを質問してくれて、メモして目で確認できるのは貴重なんです。また、色々な会社のケースや、どうやって解決していけるかなどのアイデアも自分では思いつかないことを並べてくれるので、そこにも気づきがあります。」と話しています。

最初は控えめでしたが、自分にできる品質管理やオペレーション、会議の運営などの責任を積極的にとるようにもなりました。ずっとジムに通い、朝活をするようになってから、体の調子もいいそうです。自分ができていることに気づいて自信がついてきたようです。

効率だけでは、生産性が上がらない。「緻密すぎる」CTOの変革

ベンチャーのCTOのGさんは、「緻密に開発する」ことを信条として、バグがないように完璧にシミュレーションしているとのプライドを持っていました。そのために期間がかかり、新しい機能追加などに柔軟性がないとのCEOのフィードバックがありました。
Gさん自身は、グローバル企業で高い実績を上げた方なので、非常に論理的で、無駄な行為をしたくない「現実型」でした。チャットで課題を解決できるので、打ち合わせもなるべくしないようなタイプです。

しかし、部下のエンジニアが退職したことで、マネジメントをもっと学びたいという意欲がありました。自分が尊敬する前職の開発部長が、部下のサポートをさりげなくしていたり、キャリアについての相談を受けたりしているのを思い出してもらい、自分もやってみると気づかれました。

コンサルタントとコーチの違い

よくある質問として、コーチングとコンサルティングの違いについて聞かれますがこれらは全く別物です。

コンサルタントは、課題の抽出、戦略の構築、実行計画など、成果をだすための分析をします。ただ戦略を実行できるかどうかは、当該組織のやる気、リソース、能力や市場環境などに依存するので、必ずしも実行できるわけではありません。戦略は正しいが、実行できなかった、あるいはリソース能力から正しい戦略ではなかったという場合があります。

コーチは、まず課題や、やるべきオプションについてクライアントの意志を確認します。クライアントが自分で実行できる自信のある、目標、行動計画、そして障壁などを考えてもらいます。その際に、クライアントが意識していない思考のカベの外の可能性や、過去のトラウマ、自分をしばっている成功体験などにも気づかせられるかが重要です。さらには、習慣化してもらうために必要な行動も含めます。

コンサルタントは、抜群の分析力、考察力と、クライアントよりも高い知見を要求されます。しかし、コーチはクライアントの知らない知識をかならずしも知っている必要はありません。客観的に、事実を伝えて、傾聴しながら、自信と勇気を与えて力づけることが一番重要なので。

次回は、もう少し、ベンチャーに対するコーチングのバリューについて、違った側面からお話ししたいと思います。
(次回へ続く。本連載は週1回の更新を予定しています。)

【2026年のワークスタイル】第1回:研究職からコンサルタントへ―「20代からのパラレルキャリア」のススメ 八子知礼氏 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

【2026年のワークスタイル】第1回:研究職からコンサルタントへ―「20代からのパラレルキャリア」のススメ 八子知礼氏 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル
でテクノロジーの進化がもたらす新時代のワークスタイルを予見した、シスコシステムズ合同会社・戦略ソリューション・事業開発ディレクターの八子知礼さん。「働くこと」「生きること」への価値観が多様化し続ける今、予測される新たなワークスタイルの潮流とは何なのか。ご自身のキャリアを振り返りながら、じっくりと語っていただく。第1回では、八子さんのキャリアの源流である松下電工時代から、コンサルティング業界へ転身するまでのエピソードを伺った。

【パラレルキャリア・副業】「2枚目の名刺」を持てば「人生が変わる」:テレビ局社員の柳内啓司氏 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

【パラレルキャリア・副業】「2枚目の名刺」を持てば「人生が変わる」:テレビ局社員の柳内啓司氏 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル
「2枚目の名刺」を持てば「人生が変わる」。テレビ局の社員として働く一方で、社外にて書籍、イベント、コミュニティなどのプロデュースをしている柳内啓司氏に、「会社員という本業の名刺以外に名刺を持つことで、本業との相乗効果が生まれ、人生が楽しく豊かになる」という、2枚目の名刺を持つことの意義や効果などを伺った。

【経営者の名言】オープンイノベーションのための名言 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル

【経営者の名言】オープンイノベーションのための名言 - Business Nomad Journal | ビジネスノマドジャーナル
オープンイノベーションは企業と企業、企業と大学の間に限った話ではありません。フリーランスとして働くビジネスノマドにも大きくかかわってきます。そこで、今回はオープンイノベーションを理解するために大切な名言を3つ集めました。
15 件

関連する記事 こんな記事も人気です

この記事のキーワード

この記事の書き手

ビジネスノマドジャーナル ビジネスノマドジャーナル