現代人にとって欠かせない「ペット」。増えるトラブルにどう対応すべきか?【マンション管理のトラブルQ&A】

本連載は、書籍『わかった! 得した! マンション管理 疑問・トラブル解決ガイド ―実例250選 Q&Aで学ぶ管理組合のための問題解決ブック―』(2017年9月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
ペットが「単なる愛玩動物」ではなく、「家族の一員」として認知されるようになり、現代人にとってなくてはならないものになってきました。
マンションでも、ペットを飼う人が増えており、ペットに関わる問題も増えています。
ペット飼育に関するルールはどのように周知すべきなのでしょうか。また、どのような管理規約や細則を整備すればトラブルを防止できるのでしょうか。

Q.ペット飼育禁止から可能へ変更する場合の手続きは?

現在、私が住むマンションはペット飼育禁止となっていますが、理事会として飼育を認める方向で検討しております。どのように進めていったらいいでしょうか?

A.慎重に合意形成を

現在、新しく造られるマンションでは、ほとんどがペット飼育可(使用細則あり)で売れ出されている状況です。
しかし、ペット不可ということで売り出されたマンションで、途中からペット可にするのにはかなり合意形成を取らなければならない問題が多いです。
アンケートを採って理事会で判断するだけでは、住民の方の納得を得られるというものとは思えません。

現状ペット飼育禁止ということが使用細則又は規約に入っていると思われますので、アンケート結果と一緒にその改正案を提案することになります。

アンケートはあくまで参考資料ですので、「このような結果ですが」又は「このような結果を受けまして」という理由をもって「ペット飼育細則」の使用細則の改正案を作成して、総会で審議していただくこととなさればいかがでしょうか。

動物の嫌いな方もいらっしゃいますので、しっかりした使用細則を作り、迷惑をかけないようにするのが一番重要です。飼育禁止で内緒に飼われるより、しっかりした規定のもとでペットと共住することを考えれば問題は対処できるのではないと思います。
ペットが許可されているマンションは人気なので、途中からルールを変更したい管理人の方もいらっしゃると思いますが、途中から「ペット可」にするには、細かな合意形成が必要なんですね。
住民の意見をしっかり汲み取り、「管理側の一方的なルール変更」と思われないよう注意が必要です。

Q.ペットの鳴き声に迷惑しているが、どう対処すべきか?

理事でも何でもなく住民としての質問ですが、夜に隣の犬の鳴き声がうるさくて困っています。
家族団欒の時間や睡眠時間に害があると考えています。何度か直接話してはいますが、一向に改善されません。
隣の方との関係性は非常に良好で、子供も犬と遊んだりしていて追い出そうとは思いません。 目をつぶっているしかないのでしょうか?

A.理事会に相談を

このような問題は、当事者同士で話し合いをすると関係が壊れてしまう場合があります。
ペット飼育可ですと使用細則が定められていると思います。使用細則には、迷惑行為を防止するための細かな規定が定められているはずです。
ただ、私が規約や使用細則の改定を依頼されて、内容をチェックしてみると、随分大雑把な規定だなぁと思うことが多いです。鳴き声やマナー違反などは理事会で検討していただく方がいいでしょう。

もし、使用細則の規定が不十分なものでしたら、細則の見直しも検討していただくといいでしょう。細則を改正するときには皆様の意見も聞けます。迷惑している方は他にもいるかもしれません。

また、日ごろ仲良くお付き合いなさっているとのことですので、ご本人もそこまで迷惑をかけているとは思っていないのかもしれません。個人を追求するのではなく、これからも起こることかもしれませんので、問題を未然に防ぐには、また問題が起こったらどう対処するのかなど全体の問題として細則の見直しから提案なさったらいかがでしょうか。
「お隣さん」同士の良好な関係を維持するためにも、苦情としてではなく、ルールを整備する名目で細則を見直していくことが良さそうです。

Q.盲導犬は「ペット」なのか?

そのマンションには盲導犬の助けを借りて生活している人がいるそうです。そしてペットは禁止されています。
大多数の住民は盲導犬に対してとやかく言う人はいないそうですが、ある人が「盲導犬は犬でありペットである。エレベーター内で臭いは残るし正しく躾けられているのかもわからん。何よりペットは禁止だ」と突っかかるそうです。そのたびに知人や他の住民がなだめているとのことです。

個人的にこの人の発言には問題があり咎められてもおかしくないと思いますが、
①盲導犬や聴導犬といった人間の生活を支えてくれる生き物も「ペット」と扱われるのか
②このように突っかかる人に対しての対処法はないものなのか
アドバイザーの皆様の過去の事例などございましたらお聞かせ願いますでしょうか。

不自由な生活をしているのに更に責められるのは可哀想だから何とかしたいと知人からの相談を受けております。

A.身体障害者補助犬は法律で守られています。

その方はよほど動物が嫌いなのでしょう。しかし心無い発言と思わずにはいられません。目のご不自由な方にとってはご自分の目そのもの以上に、心の拠り所でもあると思います。以前ニュースでも盲導犬を傷つける行為がよくあると報じられ、怒りを覚えました。

「ペット」は家族同然との認識まで地位が上がって来ていますが、愛玩動物には変わりありません。
盲導犬や介助犬、聴導犬などの身体障害者補助犬は、単なる愛玩動物ではなく、身体のご不自由な方の身体の一部になるものと考えられないでしょうか。

そのような動物を「犬」「ペット」というのは、身体のご不自由な方のことを考えていないからではないでしょうか。
ご自分が五体満足でいらっしゃるから、ご不自由な方々のことまで考えが回らないのでしょうか。

通常「ペット禁止」でもペットの使用細則を作ります。ペット禁止とはっきり規定し、文言の中に「但し、身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬等)及び第○条に規定する動物は可とする」と入れます(最後の第○条は、例えば小鳥とか金魚などの規定を入れますが、それらも禁止の場合は入れません)。

このような補助犬はしっかりと訓練を受け、他人に迷惑をかけることはないはずです。
飼い主さんたちも犬の健康のため、衛生には気を配るはずですから臭いなども気になるという事もないのではないでしょうか。よほど動物が嫌いな場合はそんな気がするのかもしれませんが。

残念に思うのですが、いくら法律がどうの、使用細則がどうのと言っても、そういう方のお考えをどのくらい変えられるかはわかりません。人格の問題に思えます。
その方を変えるのが無理でしたら、せめて周りの方で身体のご不自由な方に、その方を相手にしないで、他の人は理解しているからと励ましてあげていただきたいと思います。
この際、極端な話ですが、ご時世も考えていっそペット可にしてしまうのも一つの方法かもしれません。

わかった! 得した! マンション管理 疑問・トラブル解決ガイド ―実例250選 Q&Aで学ぶ管理組合のための問題解決ブック―

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