似て非なる「管理費」と「修繕積立金」。正しい考え方とは?【マンション管理のトラブルQ&A】

本連載は、書籍『わかった! 得した! マンション管理 疑問・トラブル解決ガイド ―実例250選 Q&Aで学ぶ管理組合のための問題解決ブック―』(2017年9月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
マンション管理にもマンション購入にも必ず影響する「管理費」と「修繕積立金」。
それぞれの使い方、価格の決め方には、どのようなルールがあるのでしょうか。また、適正か否かのチェックは、何を判断軸にすべきなのでしょうか?

Q.管理費と修繕積立金の違いは?

「管理費」と「修繕積立金」は、どのように違うのですか?

A.使いみち、取り崩し手続きも違います。

まず使いみちから違います。規約でも規定されていることと思います。マンション管理適正化法で、「管理費会計」と「修繕積立金会計」をしっかり区分して経理しなければいけないことが規定されています。

管理費は通常の管理に要する費用ですから、理事会レベルで使用できますが(あまりに高額でしたら総会決議がいいでしょう)、修繕積立金は、総会決議がないと取り崩しできません。
また、管理費等の余剰ですが、修繕積立金の余剰はそのまま修繕積立金に充当します。
しかし、管理費に余剰が出た場合には、管理費ばかりでなく修繕積立金にも充当できるようにしておいた方がいいでしょう。
あまりに管理費が溜まってしまった場合に、修繕積立金に繰り入れることができるようにしておきたいですね。
どちらも共有部分の整備に使用するための同じような費用に見えますが、しっかり分けて管理することが規定されているんですね。管理費の余剰をうまく修繕積立金に充当できるということなので、無駄なく運用することもできそうです。

Q.管理費用の見直しをしたいのですが、管理会社に抵抗されています。どうすればよいのでしょうか?

今年、私どものマンションでは大規模修繕工事(築13年で1回目)に入りました。
費用はこれまでの積立額のほぼ全額を費やして何とか目途が付いたのですが、今度は駐車場の空きが続き、一般会計の管理費の方が赤字になりかかり、積立金から50万円移すという事が行われました。

そんな事ではいけないという事で、理事会では管理費の削減問題に取り組み始めたのですが、理事会メンバーが話し合う機会もあまりなく管理会社の抵抗もあってうまく話が進みません。
やはりコンサルタントに依頼すべきでしょうか?

A.コンサルタントに相談してください。

ご相談の内容からすると、会計そのものの見直しが必要に感じます。
1回目の大規模で修繕積立金をほとんど使ってしまったということも不安材料ですね。
また、修繕積立金を管理費会計に移すのは問題です。
修繕積立金は長期修繕計画に沿って皆様が積み立てているものです。設立以来、修繕積立金の値上げはなさったことはありますか。

管理費会計も、毎年の収支報告で余剰金の出ないキツキツの状態だったのでしょうか。
状況がわかりませんので、こうですとは言い切れませんが、設立以来何も対処をしてこられなかったのでしたら、削減できることは結構多いかもしれません。

管理費削減は、管理会社の利益を削減することにもつながりますので、やはりコンサルタントに依頼する方がいいと思います。しかし、削減ばかりでなく値上げも考えなければいけないかもしれません。
管理費等の値上げには、少なからず抵抗が出るものと思いますが、それも必要かもしれません。
管理費の削減を検討するのか、回収する管理費を値上げするか。どちらが本当に必要な対策なのか正しい判断をするためにも、コンサルタントを活用するのがよいのかもしれません。

Q.一度決まった修繕積立金は下げることはできないのでしょうか?

入居後5年もたたずに修繕積立金の値上げが決まったという経緯があります(現在築年数19年)。
変更後17550円となったので、大体270/㎡です。周りのマンションの相場と比べ群を抜いて高いことに最近気が付きました。

管理会社に理由を聞いて「このようにきちんと積み立てられているマンションは少ないので理想的です」とか「大規模修繕をして積立金がマイナスになるような金額にはできない」などあまり納得のいく返事はもらえませんでした。

今現在、滞りなく積み立てられているのでかなりの金額になっています。それでも金額を下げる事は無理なのでしょうか?

A1.見直しは長計を基準にする必要があります。

修繕積立金の額は、長期修繕計画により算定されています。30年先の長計によっても、将来修繕積立金が多く貯まってしまうなどでしたら値下げの検討も可能かと思います。

修繕積立金の値上げや値下げは、1回決まったからと言って終わりではなく、それなりの理由があれば総会で決議できます。
確かに全国平均とか、地域の平均の積立金額などデータとして出されていますが、問題はご自分のマンションで修繕積立金の必要額が積み立てられているかどうかではないでしょうか。

築19年というと1回目の大規模修繕工事は終了していると思いますが、実はマンションは25年から30年あたりが、一番お金がかかります。外壁、屋上ばかりでなく設備や給排水管の工事も行う時期だからです。
今、目先のことで値下げをしてしまうと、これからの工事の時にお金がなくて一時金徴収や借入れをしなければならないような状態になるかもしれません。管理会社の説明はもっともだと思います。以上は一般的な場合の答えになります。

A2.長計の検証をしてください。

修繕積立金の額を算定するもととなる長期修繕計画をしっかり検証なさってみるのもいいかもしれません。
余計なものや、通常より高く設定しているものなどあるかもしれません。
長期修繕計画の見直しは5年ごとにします。次回見直しをするときに、管理会社の出したものを1級建築士などの専門家に見ていただいてはいかがでしょうか。

ただ、あまりにも高くて皆さんの生活を圧迫するのは困りますが、修繕積立金は多くあって困るものではないので無理でなければ頑張っていただきたいと思ってしまいます。

Q.物件ごとの管理費と修繕積立金の比較をしている

今、賃貸マンションに住んでいるのですが、東京都内にある中古マンションの購入を探しています。
新築マンションは僕の所得では到底手が出ませんので… いくつか不動産屋へ行くと、たまたまかもしれませんが比較的大きなマンション(総戸数100以上)で築15~20年のマンションをよく紹介されますが、70平米くらいで管理費と修繕積立金が合計月額3万以上になっているマンションや、2万以下や2万円ちょっとで抑えられているマンションがあります。

この3万と2万のマンションは、似たような築年数の物件でなぜ月額1万近くも差が出てくるのでしょうか?
管理会社が違うから? マンション管理の質が高い分だけ良いのでしょうか?
不動産屋に聞いてもそんなの知らないよって顔をされましたが…

でも管理費と修繕積立金の合計が3万も4万もするマンションは、ローンの支払いも考えなきゃいけないし、売りに出したとき売れにくいですよね?
大した問題じゃないかもですが気になっています。

A.合計で比較するのではなく、それぞれのバランスが重要です。

気を付けていただきたいポイントは、管理費と修繕積立金の合計で比べてはけないことです。
管理費は、通常の管理の費用や管理会社の委託料になります。修繕積立金は計画修繕に基づいて金額を決めます。

同じような合計金額でも、管理費が高くて修繕積立金が安いというのは要注意です。
築15~20年ですと、管理費等の見直しを一度や二度ぐらいしていてもいいはずです。管理費の方は見直しをかければ結構減額できるものですが、修繕積立金は逆に値上げになるのが普通です。

住民が無関心で管理会社に任せっきりだった場合には、管理費等の見直しもせずにそのまま過ごしてきているかもしれません。築15~20年のマンションは、第1回目の大規模修繕も済んでいるような物件ですから、少なくとも修繕積立金の見直しはされているはずです。

ローンの支払いがきつくなるという事で、修繕積立金の安いところを選んでしまうと、マンションは築25~30年が、一番お金がかかる時期になりますので、その時に修繕積立金が足りなくて値上げするというようなこともあるかもしれません。
また、築年数や規模が似たような物件でも、中の設備によって、修繕費用が違ってきますから金額だけでは比べられないと思います。

管理費と修繕積立金のバランスの取れたところがいいのではないでしょうか。
どうしても合計金額で比べてしまいがちになりますが、それぞれのバランスが大事なんですね。同じ比較でも、金額ではなく、現実的な計画をたてられているのかを見るべき、ということですね。

わかった! 得した! マンション管理 疑問・トラブル解決ガイド ―実例250選 Q&Aで学ぶ管理組合のための問題解決ブック―

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