スマホでサンマが焼ける日が来る。広がる蓄電池の未来【スマホでサンマが焼ける日】

【第3回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

進化する蓄電池、消えゆく乾電池

エネルギーハーベスティングで電気を収穫しても、貯めておくことができなければ意味がありません。
貯めることができなければ、せっかく収穫した電気を効率よく使うことができず、その一部は無駄になってしまいます。海で新鮮な魚を釣ってきても、冷蔵庫や冷凍庫がなければ腐って食べられなくなるようなものです。
エネルギーハーベスティングやその他の小さな発電所にとって、その冷蔵庫の役割を果たすのが「蓄電池」です。

蓄電池は今かなり進化していて、コンパクト化され性能も良くなっています。
アメリカのEV(電気自動車)会社、テスラモーターズが販売している「パワーウォール」(新型はパワーウォール2)という比較的安くて高性能の画期的な家庭用蓄電池システムがあるのですが、蓄電池システムはこの先5年、10年で最も技術的イノベーションが起こる分野と言えます。
蓄電池はこれからさらにコンパクトになっていって、最終的にはかなり高性能な蓄電池がスマートフォン1台くらいの大きさになるでしょう。

そうなると、今使われている乾電池もいつか終焉の時代がきます。
乾電池は、形や大きさなどが多種多様で、一般的な円筒型には単1、単2、単3、単4があり、その他に角型やボタン式、コイン式などがあります。
使い勝手において非常に面倒ですし、使い終わった後の処理にも手間とお金がかかっています。よく考えると非常に非効率ですしエコではありません。

しかも一番の問題は、この乾電池にあとどれだけ電気が残っているのかよく分からないという点です。バッテリー切れしてはじめて「ああ、電池が切れちゃった!」と慌てた経験は、みなさんも1度はあると思います。

おそらく20年後くらいには、かつて使われていたカセットテープやフィルムがあっという間に消えてしまったように、乾電池も過去の遺物になっているはずです。

発電機能を持つスマートフォン。スマホでガスが使えるかも!?

今後はEV(電気自動車)が「大きな蓄電池」としての役割を果たすようになりますが、みんながみんなEVに乗るわけではないでしょうから、そう考えるとやはり一番身近でコンパクトなスマートフォンが蓄電池機能を搭載していく可能性は大いにあります。

今後スマートフォンは、コンピュータであり通信機器であり、カメラであり、音楽・映像視聴機器であり、サイフであり、発電装置、蓄電池でもある、といったように、すべての機能がさらにスマートフォンに集約されていく時代になりそうです。
今のテクノロジーをもってすればスマートフォンを蓄電池化させるのは技術的には可能です。
あとはもう市場の問題でしょう。その市場にニーズ、盛り上がりが起こればテクノロジーはそれに合わせて進化し、普及するものです。
太陽光パネルも、FIT(太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を図るため、再エネで発電された電気を電力会社に一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけた制度)などで太陽光発電が普及したために、一気にパネルの価格が安くなったのと同じです。

太陽光といえば、ソーラー発電のシステムもスマートフォンに組み込まれるかもしれません。
そうなると、天気のいい日にピクニックに出かけて、スマホで発電・蓄電した電気を使って、火やガスの使用が禁止されている場所でもバーベキューができたり、屋上やバルコニーでサンマが焼けてしまう、といった日が来るかもしれませんね。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部