「電力の地産地消」を可能にする電力の自給自足「オフグリット」【スマホでサンマが焼ける日】

【第4回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

電気を買わない「オフグリット」家庭

先に電気を送る、送電技術や考え方について話しましたが、そもそも「送電線にたよらない」という選択肢もあります。

それが最近よく耳にする「オフグリッド」(電力会社などから電気が送られてくる送電線と繋がっていない状態)であり、そうしたライフスタイルを実践する「オフグリッド生活」です。
オフグリッド生活は、まさに自給自足。これほど無駄のないことはありません。これから徐々にこうしたライフスタイルが広がっていく可能性があります。

オフグリッド生活は、日本よりも海外で広がりを見せていて、実際に大規模発電所の送電網から電気を買わない家庭が増えています。
太陽光発電システムを導入して電気を買わなくても済む家庭や、自分たちで発電した電気を蓄電池で貯めておいて使いたいときに使う、という家庭が増えてきています。

これからは自分たちで電気を作って自分たちで使って、さらにシェアする、ということが当たり前の時代になると思います。
それは後述する「技術大国がエネルギー大国になる」時期よりも、もっと早い段階で来るでしょう。
なぜかというと、それは今からやろうと思えば誰でもすぐにできてしまうからです。
太陽光発電や風力発電などのエネルギー効率がもう少し上がって、蓄電池の性能がもう少し上がれば実現してしまうことなのです。

ライフスタイルのオフグリット化の可能性

オフグリッドは、単に、無駄に資源を使い環境を汚染する大規模発電の電気を使わないからエコだ、というだけでなく、送電による電気の無駄を省くという意味でも大きな価値があると考えられています。

近年増えている地方自治体主導の地産地消型の電力事業に、プラスこういう個々人のオフグリッド的なライフスタイルへのシフトが同時進行すれば、本当に完全な地産地消の電力システム、地域循環で完結してしまうシステムが、あまり遠くない未来にできあがってしまうのではないか、という気がします。
この、モノを送る、移動させるシステムの効率化というものが、今後の社会・産業発展の肝になるはずです。

将来、タンカーで石油を中東から輸入していた、パイプラインでガスを運んでいた、ということが昔の懐かしい話、笑い話になるような時代が来るのではないでしょうか。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部