「集中」から「分散」へ。電力の効率化が生み出す「豊かさ」【スマホでサンマが焼ける日】

【第6回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

電力システムの変革は「最適化」を生み出す

アナログからデジタル、電気のシェア、集中から分散、大きいから小さい、そして蓄電池をはじめとする様々な技術や電力システムの変革によって、電力・エネルギー産業だけでなく、私たちの生活も大きく変わっていきます。

そうした変化による恩恵、目的と言ってもいいかもしれませんが、いずれにせよ、ここで重要なことは単に新しいビジネスが生まれるとか、経済効果が、とか、生活がより便利になるということだけではなく、「無駄の少ない循環型社会」を生み出すということです。
この、電力・エネルギーの無駄をなくすという発想は、電力・エネルギーの生産と利用を「最適化する」と言い換えることができます。

これからの「電力・エネルギー」はコントロールするもの

どんなことでも、無駄をなくす、最適化するというのは、ごくごく当たり前のことだと言う方もいるでしょう。
みなさん、特に主婦の方は普段の生活の中で、お金でもモノでも何でも無駄遣いをしないようにがんばっていると思います。
野菜は少しでも無駄なく全部使おうとか、マヨネーズも最後のひと絞りまで使うとか、特売をしているスーパーまで足を運んだり、靴や下着もいよいよこれは使えないというところに至るまで使うなど、しっかり最後まで使ってちょっとでも無駄をなくそうとしているはずです。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!
ところが、電力・エネルギーに関しては、ちょっとした節電以外、ほぼ何もしてこなかったように思います。多くの人は、エネルギー、電気に関してはなぜか無頓着、無関心なのです。電気は自動的に供給されて電気料金を支払う、というある種、税金的な感覚できてしまったのではないでしょうか。

しかしこれからは違います。ここまで話してきたように、電力・エネルギーを作る、送る、貯めておく、分け合う、使うというすべての面において、自分たちの意思でコントロールできる世の中になります。
そうなると、電力・エネルギーについても、お金をどう稼いでどう貯めて、どう使うかを日々真剣に考えているように、どうやって効率的にし、最適化し、無駄をなくそうかと自主的に考えざるを得なくなるはずです。
無駄をなくし効率的にする。これはこと電力・エネルギーの分野でこうした最適化を追求することは「より多くの人が豊かに暮らすこと」に直結します。
なぜなら、電力・エネルギーはお金と同じように、テクノロジー、ビジネス、産業、経済、生活、医療、教育など、私たち人間にとって切っても切り離せない存在だからです。
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