いつでもどこでも電気をGET!ワイヤレス給電の無限の可能性【スマホでサンマが焼ける日】

【第13回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

Wi-Fiサービスの次に整備が必要なワイヤレス給電サービス

ワイヤレス給電によって便利になること、役に立つことはまだまだたくさんあります。

今、訪日外国人が増えていますが、私たちが海外に行ったとき困るように、日本に来た外国人が観光などでずっと街中にいるとき、スマートフォンのWi-Fiや充電に困っていて、みなさんWi-Fiスポットや充電できる場所を探しているようです。
今日本は外国人観光客向けのWi-Fiサービスの充実が課題になっていますが、これからの訪日外国人向けサービスとして、電源サービス、給電サービスの整備も重要な課題になっていくでしょう。
そこで鍵になるのがワイヤレス給電です。
もし日本国内の街中にワイヤレス給電スポットが増えて、Wi-Fiのように簡単に、いつでもどこでもスマートフォンに充電できれば、旅行者にとってこれほど便利なことはないでしょう。

東京都が東京五輪に向けて「電線地中化」に加え、東京の街に「ワイヤレス給電ステーション」をたくさん作ってくれたら、世界へ向けた日本のテクノロジーのアピールにもなりますし、世界中から東京に来るアスリートや人々に感謝されるのではないでしょうか。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!

ワイヤレス給電は人の活動範囲を広げる

ワイヤレス給電は災害時にも大いに役立ちます。
災害時に通常の電力供給がストップしてしまい、携帯の電源が切れてしまいそうなとき、そこにワイヤレス給電の機械があればすぐに充電でき、家族とも連絡がとれます。

また、よく山で遭難してしまった人がスマートフォンの位置情報で自分の位置を確認して捜索隊に連絡して助かった、という話を聞きますが、山岳地帯などにもワイヤレス給電スポットがあれば助かります。

このように、山の中であろうが砂漠地帯、荒野であろうが、ワイヤレス給電で電気が確保できるようになれば、これまで電線がきていない、電気がないから暮らせなかったところでも生活できるようになります。
もしかしたらそこで同時に太陽光発電も行いながら大規模なIT農業ができるようになるかもしれません。そうなればオフグリッド生活も急速に広がります。

このようにワイヤレス給電は、家の中以上にアウトドアでの生活において大きな利用価値が出てくる技術であり、この技術によって、我々人間の活動範囲が大きく広がる可能性を秘めています。
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