iPhoneもワイヤレス充電に?!ワイヤレス給電はライフスタイルを変える【スマホでサンマが焼ける日】

【第9回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

高まるワイヤレス給電の需要

ワイヤレス給電に対するニーズが高まっている要因は、家の中での家電利用の不便さの解消ということ以上に、もっと重要な点にあります。
それは、家の中よりも「家の外」で電気を使うこと、屋外での電気利用ニーズが急速に高まっていくということです。

つまり、スマートフォン、パソコンに加え、ドローン、電気自動車、ウェアラブル端末、サービスロボットなど外で使用する電子機器に加え、IoTの普及で爆発的に電気を必要とするモノが増えるからです。
そんな状況下で電力供給システムが有線であることは、どう考えても不便。いや、不便をとおり越して社会自体が成り立たないはずです。
みなさんも、外にいるときスマートフォンやパソコン、タブレット端末のバッテリーが切れそうになってイライラした経験は、1度や2度はあると思います。

世界的にヒットしたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」がリリースされた当初、スマートフォンの充電器が爆発的に売れたそうですが、今後またポケモンGOのようなゲームや大人気のアプリが出て同じような状況になったら「もういちいち充電するなんて面倒だし、充電器にお金がかかりすぎて非効率だ!」ということになり、いつでもどこにいてもスマートフォンに充電できるワイヤレス給電のサービスが一気に拡大するでしょう。

また、今ノートパソコンを持ってカフェやコワーキングスペースで仕事をする、いわゆるノマドワーカーが増えていますが、そうした遊牧民的ワーカーの増加に対し、彼らがパソコンの電源を繋ぎながら仕事ができる場所の数が追いついていないのが現状です。
もし、いつでもどこでもパソコンに給電できる「ワイヤレス給電ステーション」のようなものが増えれば、リモートワークやノマドワークなど、会社の外で仕事をする機会がさらに拡大するのではないでしょうか。
外にいるとき、いちいち充電、給電できるコンセントのある場所を探す必要もなくなり、重たいアダプタ付きの電源コードを持ち歩く必要もなくなるのです。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!
ちなみに現在、研究開発が進んでいるワイヤレス給電システムには「非放射型」(電磁誘導、磁界共鳴、電磁結合など)や「放射型」(電波式、レーザー式、太陽発電など)などいろいろな方式がありますが、いずれの方式にせよ、コンセントに代わって電気を家電などに飛ばす機械、ちょうど今のWi-Fiルーターのような機器が必要です。
また、飛んできた電気を受け取るデバイス側も、ワイヤレス給電に対応したシステムを搭載している必要があります。
そろそろiPhoneあたりもワイヤレス給電対応の新機種を出してくるのではないでしょうか。そうなればワイヤレス給電は一気に普及するでしょう。

充電のワイヤレス化でライフスタイルが変わる!

充電、送電のワイヤレス化。これが一般的になれば、Wi-Fiによってインターネットの使い方、仕事・ライフスタイルの可能性が大きく広がったように、私たちの生活は大きく変わるでしょう。
これからロボットが医療サービスをするようになると、当然介護ロボット自体も普及してくるでしょうし、そうするとワイヤレス給電のニーズがにわかに高まる可能性はあります。

実際にワイヤレス給電の市場規模が大きく伸びるという統計も出ています。
米国のリサーチ会社であるIHS Technology が2014年に発表したデータによると、ワイヤレス給電市場は2018年には85億米ドル、約1兆円規模になると予想されています。

また国内でも成長戦略の一つとしてワイヤレス給電がテーマに上がり、標準化に向けて総務省も動いています。
ワイヤレス給電は、国を挙げたプロジェクトとして様々なメーカーや大学などで研究が進められている世界的にも注目の技術なのです。
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部