中小企業のためのマーケティング・ブランディング戦略 第3回「右肩下がりの市場では教科書通りのマーケティング手法は通用しない」

消費者のニーズや価値観が大きく変わり、市場自体も縮小している中、セオリー通りの戦略が機能しないと感じることはありませんか?経営陣は目標を掲げるばかり、現場は目の前の売上目標に追われるだけ・・・。しかし、中小企業やスタートアップには小さいからこそ優位に立てる独自の「強み」が間違いなく存在します。「強み」を理解し、活用することで、大企業にも十分対抗できるパワー(差別化要因)を秘めているのです。

本記事は新しい働き方ぜんぶがわかるメディア「ビジネスノマドジャーナル」さんの提供で配信しています。
前回は、「マーケティング」と「ブランディング」の両方を意識した取り組みに必要な3つのポイントをご紹介しました。ここで簡単に振り返ってみましょう。

①発信力:商品・サービスの価値や魅力を発信すること

②信頼関係:価値ある商品を提供し、顧客との信頼関係を維持すること

③柔軟性:市場の変化に対応した迅速な行動をとること

結論として、商品・サービスの価値を顧客に認めてもらい、継続的な利益を得るためには、「マーケティング」と「ブランディング」2つの効果・役割を意識して、変化する市場に合わせた独自のアプローチを築くこと。
この重要性をお伝えしてきました。

今回は、特に「柔軟性」と関わる部分として、新たな「マーケティングの着眼点」について取り上げていきます。

テクノロジーの進化によって、お客様の購買行動は劇的に変化

皆さんが関係しているビジネスは今、どんな状況でしょうか?右肩上がりに伸びていますか?
小売ビジネス全般は、市場自体が縮小・ダウントレンドになっている、「右肩下がり」の状況です。 市場が右肩上がりで伸びているときは、余計なことを考えなくてもいいでしょう。
こういうときは、同業のライバル会社よりも、もっと良い商品をつくる、価格を安くするといった市場内の競争で自社のビジネスを伸ばすことができます。
また、「市場規模」「市場の伸び率(成長率)」「市場シェア」さえ注視していれば、モノを売ること自体はシンプルで結果の出やすいものでした。

しかし、現在はどうでしょうか?テクノロジーの進化によって、お客様の購買行動は劇的に変化しています。
スマホの登場によって情報選択の幅は広がり、一個人の趣味・嗜好は多様化しました。
さらに、同じようなモノ(商品)が増え続けたために市場は飽和状態となり、競争率は以前にも増して激しくなっています。
もはや、「作れば作っただけ売れる」時代は過ぎ去り、「作っても売れない」時代に突入しているのです。

実際、あなたはモノを買う時どんな行動をとりますか?

日頃「モノ」でマーケティングを考えていると、すべてをモノの問題にして答えを出そうとしてしまいます。しかし、消費者の本音は「モノが多すぎて選べない」「差がよくわからない」「間に合っている」・・・といった感情です。
つまり「解決すべき問題はモノの外」にこそ存在するのではないでしょうか?

もはやモノの中に「答え(解決策)」はない

皆さんもご存じのように、「モノからコトへ」というスローガンはかなり前から提唱されてきました。(「コト」というのは、体験やストーリーなどのことですね。某カード会社の「お金で買えない価値がある」、自動車メーカーの「モノより思い出」といった広告が印象に残っている方も多いと思います)
しかし、具体的にどうすれば「モノ発想」から「コト発想」に転換できるのか...。
その方法が分からずに苦悩している方も多いのではないでしょうか?

長年取り組んできた「やり方」や、ビジネスの「枠組み」を壊すことは容易ではありません。
人はなかなか行動を変えられない、という本質は、生活者だけでなく企業にとっても同じことです。

生き残る為には、他社との「差別化」は最重要なポイントになります。
しかし、モノが売れない時代にモノの差別化ばかり重視しても、結果は目に見えていますよね。

では、モノ以外でどのように「差別化」を図っていけばよいのでしょうか?
その答えは、「モノの外側」にあります。モノの対極は「ヒト(人間)」です。「人間の行動」に注目した差別化のカギとなるのが、「リアル行動ターゲティング」です。

「リアル行動ターゲティング」とは

「リアル行動ターゲティング」とは、ユーザーの「リアルな場=日常の行動」を捉え、ターゲット層の生活スタイルを分析する新たなマーケティング手法です。

既に一般的になっている「ネット上の検索」「閲覧行動の把握」「位置情報」なども、消費者の「行動」を探るための必要情報です。
日常の生活の中で収集された情報から、ターゲット層となる消費者が「何を求めているのか」、「どんな商品」を「何の目的で」「どのタイミングで買うのか」などをビックデータから読み取ります。

それでは、「リアル行動ターゲティング」をテスト対策に例えてみましょう。

(A)試験範囲を理解して勉強をした場合

(B)試験範囲を無視して勉強をした場合

この2つの状況を比べた場合、高得点が見込めるのは明らかに(A)の「試験範囲を理解して勉強をした場合」です。

ただ闇雲に勉強をしても、高得点は狙えません。出題範囲となる問題(ターゲット)を「理解」し、必要な対策が出来ていなければ、どんなに時間をかけて苦労をしても、コツコツ準備をしていても...結果的には的外れなテスト対策になってしまいます。
時間をかけて苦労もしたのに思ったような結果が得られなかった...。これほど悔しいことはありませんよね。

テスト対策には日頃の「観察力」が役立ちます。授業中の教師の発言や仕草なども、出題される問題や傾向を予測する重要な手掛かりになります。
「ここが出る」「ポイントはここだ」「しっかり覚えるように」というような何気ないフレーズや、感情を込めて黒板を叩く仕草など。無意識に出ているような行動や表情にも「試験に出す問題」の「ヒント」が隠されていることがあるからです。

毎回必ず高得点を取る学生は、そのようなヒントも見落としません。優れた観察力は努力を後押ししてくれるのです。

これからのマーケティングに必要なのは「現状理解」と「観察力」です。

先ほどのテスト対策(●)の例をマーケティング(◎)の世界に置き換えてみます。

●試験範囲を理解すること=◎ターゲット層を理解・把握すること
●教師の様子(表情・行動)を観察すること=◎ユーザーのリアルな行動を収集し分析すること

この2つが、求める成果(=高得点)に繋がっていきます。
時間や労力を無駄にせず、最適な対策をするためには「リアル行動ターゲティング」の視点が欠かせません。

このように「モノ発想」から離れ、ユーザーの「行動」に目を向けることで「コト発想」に転換していくことができます。
また、そうすることで、商品・サービスの価値を高めるための「概念」「手順」「手法」「効果」が、 一枚の地図として浮かび上がってくるのです。

後はその地図(=経営戦略)を辿りながら、仲間(=従業員・スタッフ)を導き、共にゴール(=到達目標)に向かうだけです。

新たな手法を手に入れ、自社商品・サービスを強化するための「新たな地図」を描いてみるのはいかがでしょうか?

次回は、「ペルソナ設定」と「カスタマージャーニー」という2つのキーワードを中心に、顧客視点で捉えるマーケティングの手法をご紹介していきます。
(次回へ続く。本連載は隔週の更新を予定しています。)
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