【中小企業のためのマーケティング・ブランディング戦略】第8回:「デジタルシフト」を受け入れない人や企業に未来はない

本記事は新しい働き方ぜんぶがわかるメディア「ビジネスノマドジャーナル」さんの提供で配信しています。
前回は、「アライアンス」がもたらすメリットについてご紹介しました。企業と企業、個人と企業が新たな戦略的連携を結ぶことで、これまでにない気づきが得られます。

●人材育成に力を入れ、個人を評価する→意欲的な人材を育て、外部から学ぶ機会を与え、企業に還元してもらう

●外部との関わりを恐れずに、新たな発想・変化を求める→人材のシェアによる化学反応で、企業全体を進化させる

アライアンスの最大のメリットは、これまでにない「気づき」を得ることです。そのためには外部との積極的な関わり、業界の垣根を越えた交流など、柔軟な発想が必要です。

様々な業界で起こっている変化にも目を向けられるようになると、数年先を見据えて、今自分たちは何をすべきなのか?具体的な方法や対策が見えてきます。

さて今回は、「デジタルシフト」をキーワードに、今こそ積極的に取り入れるべき、新たな視点についてご紹介します。

新しい時代に欠かせない「デジタルシフト」

デジタルシフトとは、簡単に言ってしまえば「業務をネット環境に移行する」ことです。現代の消費者に目を向けてみましょう。ほとんどの人がパソコンやスマホなどネットに繋がる端末を持っていますよね。
一日のうち、多くの時間をオンライン上で過ごす人は以前に比べ格段に増えているのです。

極端な話、このような時代にEC事業(=ネット販売)を取り入れていないとしたら、モノやサービスを販売する業界としては少々後れを取っていることになります。

もちろん、販売員のいる実店舗には、会話をしながら安心して買い物ができるというメリットや実際商品を手に取って確認できるというメリットはあります。

論点を変えて、身近にある例で考えたいと思います。
店頭での支払方法にクレジット決済を取り入れていないとしたら、一体どうなるでしょうか。
個人差はもちろんありますが、私だったらカード払いができない店は、行きたい店の選択肢から外します。しかし現金払いしかできない店は世の中にごまんとありますよね。

「単価が低い商品だから」「手数料がかかるから」このような自己都合が理由であるならば、ビジネス(商売)の本質を見直すことをオススメします。

カード払いを望む顧客はもとより、「少々高くても欲しいから買おう」「もっと食べたいから注文しよう」という見えない消費者心理に、自ら規制をかけて、結果ビジネスチャンスを狭めている。そう考えると、非常にもったいないなと客観的に思うわけです。

デジタル化によって新たな価値を生み出すためには、「顧客主語」での考え方が必要です。あらゆる顧客接点を念頭に置き、効果的なデジタル化について模索すること、それが価値ある「デジタルシフト」の目的です。

デジタルシフトがもたらすメリットと課題

ここで、デジタルシフトがもたらすメリットについて考えてみましょう。パソコンやネットワークの普及により、様々な作業を簡略化できるようになりました。

たとえば発注や在庫管理などのデジタル化により、手作業の業務時間が短縮されたという経験はどなたにもあるかもしれませんね。
今まで全て人間が手作業で行っていたこと、膨大な時間をかけて個別に対応していたような作業をネット環境に移行(=デジタルシフト)すると、その分の費用や時間が節約できます。

また、売れたもの、売れ残ったもの...近年の消費者の動向など。全ての情報がデータ化されることで、より効率的なマーケティングが可能になりました。
データという武器を活かし、適切なデータ分析ができれば、無駄なコストを削減しながら消費者の動向を瞬時に掴むことが容易にできます。

しかし、実際の問題は、この「データ分析」の部分に隠れていることを認めなくてはいけません。全ての動きがデータ化される分、そのデータ量は膨大になります。その為、集めたデータの活用方法が分からない...という人が多いのが実情でしょう。

つまり、デジタル化における課題の本質は、「デジタル」に通じている人材の少なさ、にあります。データから導き出される結論は、今後の事業を大きく変える最強の武器です。

しかし、本質を理解しない経営陣は、デジタル的な発想をあえて捨て、アナログ的に振る舞うケースがいまだ根強く残っています。

その反面、IT進化やニーズの多様化に伴って、データ管理やデータ活用、データ分析という、実際の「データ」に基づく判断基準の必要性は、日に日に増大しています。

海外のブランド企業では、デジタルマーケティングに精通したデータ分析の専門家たちがCEOに就任する、というようなケースも増えてきています。
データ分析のプロを経営陣に加えることにより、デジタル化のメリットを企業全体に浸透させようとしていることが伺えます。

データをいくら集めても、そこから意味ある情報を抜き出せなければ意味が無いわけです。デジタル化によって得られたデータを、自社の商品・サービスを向上させるために活かせるか...これが今後の課題になることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

計画性の無い「デジタル化」を避けるべき理由

むやみやたらにデジタル化をしても、その使い方や管理の仕方が分からなければ、結局は宝の持ち腐れになってしまうことは多々あります。
最も大切なのは、「自分たちにとって益となるデジタル化」は何なのか?まずは業務の棚卸をして真剣に考える必要があります。

ここで毎回恒例の身近な事例、今回は「電子レンジ」の使い方を例に挙げ、考えてみましょう。
電子レンジは非常に便利な調理家電です。電子レンジが無かった時代では考えられないほどに、調理という家事を効率化させた素晴らしい発明と言えるでしょう。しかし使い方を間違えると非常に危険な機械であることでも有名です。

以下の食材をレンジ調理する際、どのような点で注意が必要でしょうか。あなたはすぐに答えられますか?

(A)たまご
(B)さつまいも・じゃがいも
(C)ソーセージ

よく自炊される方、料理が好きな方にとっては簡単な問題だったかもしれません。
答えはとてもシンプルです。

(A)(C)は表面が殻や皮に覆われているため、加熱により破裂することがあります。卵の場合は殻から出して一度といておくこと、ソーセージなどは小さな穴を開けておく必要があります。
(B)は水分量が少ない食材のため、加熱しすぎると炭化することがある為、軽く水を含ませるなどの準備が必要です。

食材の特徴や水分量を把握し、レンジの特性を理解して正しく使用できていれば、これほどまでに便利で時短の調理が可能な機械はありません。しかし、使い方を間違えると...飛び散った食材の片づけなどに余計な時間がかかります...。

いかにも料理が得意といった話を並べていますが、いや違います。
実際、(C)のソーセージを加熱した際、大爆発させて学んだ失敗談です。

デジタルシフトの有効活用もこれと似ています。現在の業務のどの部分を「デジタル化」していくのか。実践方法やメリット、デジタル化がもたらす効果までを、きちんと考えてから導入しなくては意味がありません。

本当の意味でのデジタル化の価値は、適切な活用によって生み出されます。デジタル化の価値がそれぞれの企業によって異なるのはこのためです。

多様化するニーズや価値観に応えていくためには、デジタルツールの活用は欠かせませんが、より重要になるのは、自分たちの「強み」がさらに魅力的になるような活かし方です。

企業にとって、中核的な強みとなる「コアコンピテンス」を置き去りにせず、デジタル化によってさらに、その「強み」を魅力として押し出せるようなデジタル化こそ、最高の「デジタルシフト」ですね。

デジタルツールに任せてよい仕事、人間だけができる仕事:経験則×データ活用で新たなシナジーを生み出す

それぞれの企業には、長短にかかわらず歴史がありますよね。これまでのやり方、すなわち「企業文化」を大切にしたい、と思うのも当然のことです。
しかし、時にはその文化を大きく変える勇気も必要になります。

もちろん、経験則を否定するつもりはありません。これまでの「実績」から得た経験は、非常に貴重な財産だからです。しかし、そこに、「データ」という実証的な要素が加わることで、新たな価値が生まれます。

データを集めるのは機械ですが、どのデータを活用するか、どのように分析するか、という実践的な部分を決定するのは人間の役割です。
つまり、「経験則」と「データ活用」という二つの視点が重なる融合点から、新しい気づきが得られ、これまでに無い「企業価値」を生み出す化学反応が発生するのです。

この数年間で、マーケティングについての考え方も大きく変化してきました。今、どんなことが世界で起こっているのか。今後どのような流れが起こりそうなのか。業界の常識にとらわれず、異業種、世界のビジネス動向、など幅広く目を向けて、情報収集のアンテナを積極的に張る意識が大切です。

現状維持で満足せず、常に進化を求める貪欲さ。
このような意識を経営者が持つことで、成長し続ける企業を育てることは必ずできます!

次回は、「コンテンツマーケティング」というキーワードで、中小企業にとって必要不可欠な次世代型のマーケティング手法についてご紹介していきます。
(次回へ続く。本連載は隔週の更新を予定しています。)
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