日本人が世界で通用できない3つの問題「無意識の偏見『アンコンシャス・バイアス』に囚われている」

世界中の人々が、グローバル化の流れに対応するため、ダイバーシティ・マインドを身につけようとしています。しかし、日本人の多くは、その流れに付いていくことができず、世界に通用する働き方ができていない、と『世界で通用する正しい仕事の作法』著者の伊藤武彦氏は言います。本連載では、日本人の仕事が世界で通用しない3つの問題を紹介します。

本連載は、日本国内初の「バークマン・メソッド」公認マスタートレーナーである伊藤武彦氏の著書「世界で通用する正しい仕事の作法  4つのカラーで人を知る、組織を活かす、世界と通じあう」を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

日本の問題③  アンコンシャス・バイアスをもってしまう

三つ目の問題は、日本人特有とまでは言えないものの、日本人も抱えつづけたままでいる問題です。それは、「アンコンシャス・バイアスをもってしまう」というものです。

アンコンシャス・バイアスは、「無意識の偏見」とも表現されます。「こうあるべきだ」と考える理性とはまた別に、「自分とはちがう」と感じている対象を、受け入れまいと働く無意識の心理といえます。
たとえば、外資系企業に、管理職として転職してきた日本人がいるとします。
新たな職場で新たな部下たちを率いて仕事を始めようとしていたところ、自分のチームの部下に、かなりの割合で障がいを抱えている社員がいることを知りました。

その社員たちのもっている障がいは、仕事に支障をきたしたり、通常のコミュニケーション方法では意思疎通ができなかったりするものです。
実際、管理職としての仕事を始めると、転職前の会社のときよりもチームとしての作業に時間がかかることを認識しました。この人物はストレスを感じるようになり、無意識のうちに、チームの運営を、障がいをもつ社員たちと健常な社員たちで分けてしまうようになりました。
上司からは「社員それぞれ特技がちがうのであって、それを生かせないのは君のマネジメント力不足だ」と指摘されました。

この社員は日頃、車椅子の人が電車に乗ってきたら、通り道を広く開けたりするなど、社会人としてふさわしい振る舞い方をしてきたつもりでした。
しかし、意識に現れでないようなところでは、この社員たちに「自分とはちがう」ということを感じており、それがチーム運営に現れてしまったのでしょう。
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ダイバーシティのある環境で浮き彫りになる「偏見」

このような説明をする私自身も、アンコンシャス・バイアスを抱いていることを実感するできごとがありました。
アフリカ南部のある国で、現地の大学のビジネススクールに招かれて講義をする機会がありました。学生たちのなかに一人、ビジネスマン出身で、「将来、グローバル・カンパニーのリーダーになりたい」という大志をもつ人がいました。
とても向学心があり、私の講義を熱心に傾聴し、積極的に質問もしてくれました。

彼が親しげに私に近づいてきてくれたとき、私は彼の手にうみ膿があることに気づきました。それからというもの、私は彼が素晴らしい学生であるということ以上に、膿があることが気になってしまい、いつしか彼を直視して話すのができなくなってしまったのです。残念な自分がいました。
私のなかにも、「自分とはちがう」という、アンコンシャス・バイアスが働いていたのです。

アンコンシャス・バイアスの問題は、ダイバーシティのある社会環境になっていくにつれて、その根深さが浮き彫りになってきています。
人が、ダイバーシティのある仕事環境で活躍しようとすればするほど、「自分とはちがう人がいる」という課題に直面することになります。この考え方を変えないかぎり、アンコンシャス・バイアスの問題に対応することはできません。
いくら立派な教育プログラムを受けているとしても、従来の〝グローバルでない〞価値観から脱することはできません。

この問題を克服することは、ダイバーシティのある組織で仕事をする上での根本的な課題といえます。

グローバル・マインドを得るには「無意識の偏見」を認識して

グローバル人材が身につけるべき要素として、ことさら強調したいのは、「グローバル・マインド」です。
グローバル・マインドとは、世界中のどんな職場環境においても、世界中のどんな相手や顧客に対しても、もっておくべき心構えのことを指します。

グローバル・マインドには、さらに複数の要素があります。
たとえば、「ポジティブであること」や「メンタルヘルスを保つこと」なども要素です。これらの要素については、詳述されたほかのビジネス書が多数ありますので、そちらをお読みいただいて身につけていただければと思います。

自分の「アンコンシャス・バイアス」に気づく

「アンコンシャス・バイアスを取り除く」というのは、グローバル・マインドを得るための大切な要素です。障がい者を部下にもつようになった管理職の例や、腕に膿のある学生に接することになった私自身の例を述べました。
無意識の「自分とちがう」という感覚は、相手の身体的な相違点に対してのみ生じるものではありません。より、身近な例もあります。
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だれにでも、「気の合う人」と「気の合わない人」がいるものです。
たとえば、とある企業の部長が「私は部下であるみなさんを平等に扱っているつもりだ」と公言していたとします。
しかし、この部長にも気の合う部下と、気の合わない部下がいるはずです。好きな部下が自分のところに来たときは、面と向かって相談に乗りますが、嫌いな部下が自分のところに来たときは会話をしていても目を背けていたりします。

部下たちは、部長のそうした「平等ではない」態度に敏感に気づきます。しかし、部長本人はそのことに気づいていません。

大切なのは、自分特有のアンコンシャス・バイアスを取り除くことです。つまり、自分自身で「じつは部下たちを平等に扱っていない」ということに気づくことです。その気づきがないと、部下たちを平等に扱うことはできません。

アンコンシャス・バイアスが働いて部下を平等に扱うことができない。その弊害のおそれは、部下本人に嫌な思いをさせるといったことにとどまりません。
気の合わない部下が、じつは会社に莫大な利益をもたらすアイデアをもっているとします。しかし、気が合わないため、その部下の言うことに耳を貸さず、じっくり話を聞く機会も設けずに過ごしたとします。
その部下は部長のもとで仕事を続けることが嫌になり、転職してしまいました。そして、転職した職場でアイデアが重視され、その会社に莫大な利益をもたらしました。
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部