タケコプターはどうやって充電しているのか?【スマホでサンマが焼ける日】

【第10回】電気・エネルギー業界は今、50年に1度の大転換期を迎えています。電力自由化をきっかけに各家庭へのスマートメーター導入が開始され、電力産業、電力関連ビジネスは一気にデジタル化の道を歩み始めました。本連載では、RAUL株式会社代表取締役の江田健二氏が、IoTとも密接な関係を持つ電力とエネルギーの未来を、ワイヤレス給電、EV(電気自動車)、ドローン、ビッグデータ、蓄電池、エネルギーハーベスティング、VPPといった最新テクノロジーの話題とからめながら解説します。

本連載は、書籍『スマホでサンマが焼ける日』(2017年1月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。

ワイヤレス充電でペッパー君がもっと身近になる

ワイヤレス給電は、今後増えていくであろうソフトバンクの「ペッパー(Pepper)」のようなサービスロボットにとって必須の技術になっていくでしょう。

ちなみにペッパーは今どうやって充電しているのかというと、床に置かれた「充電ベース」と呼ばれる機械の上に自分で歩いていって、「いまから充電しまーす」と言って自分で充電するシステムを備えています。
でもこの「充電ベース」はそこそこ大きいので、やはり部屋の中では邪魔な存在になります。ペッパーもいずれワイヤレス給電できるようになれば、もっと私たちの生活に密着した存在になっていくでしょう。

スマホでサンマが焼ける日 電気とエネルギーをシェアする未来の「新発想論」

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この連載では書籍からごく一部のキーワード解説を掲載しています。
50年に1度の大転換期を迎えた電気・エネルギー業界の未来のキーワードをチェックするならぜひご覧ください!

アニメの中のロボットたちの動力源は何なのか

ところで、漫画やアニメの中に出てくるロボットたちは、何を動力源にしているのか? 動力源が電気であれば、いつどうやって充電しているのか? などと妄想を膨らませてしまうのは私だけでしょうか。

調べてみたところ、『鉄腕アトム』のアトムは「原子力」、マジンガーZは架空の「光子力」というエネルギー、新しい鉄人28号は「太陽光」、ガンダムは「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉」というシステム、エヴァンゲリオン初号機は「電力」(長いケーブルを背中に繋いで充電する)で動いている、という設定だそうです。その他、漫画やアニメに出てくるロボットたちは、「乾電池」や「ガソリン」など、その動力源は様々なようです。

では、世界的にも人気のアニメ「ドラえもん」の動力源はいったい何なのでしょう? 一説によると最初の設定では「ドラえもんの体内には「原子ろ(原子炉ではない)」という物があり、この中で食べた物を原子分解してエネルギーに変換する」ということらしいのですが……、要は食べるもの、特にドラ焼きがエネルギー源ということなのかもしれません。
Photo by MIKI Yoshihito. (#...

Photo by MIKI Yoshihito. (#mikiyoshihito) on Visual hunt / CC BY

かつての想像よりも進化した現代のテクノロジー

ドラえもんの動力源も気になりますが、ここで問題にしたいのは、タケコプターの動力源です。
タケコプターは電池式なのか、充電式なのか、はたまたもっと別の未来の技術を使った動力で動いているのか? 諸説ありますが、のび太がよく「タケコプターの電池が切れちゃったんだ」などと言っているので、基本的には電気で動いていると見てよさそうです。

となるとドラえもんやのび太は、時々どこかでタケコプターの充電、または電池交換をしているということになります。
でも、もしワイヤレス給電のシステムを使えば、タケコプターだっていちいち地上に降りてきて充電しなくても、ワイヤレス給電でずっと飛び続けられるはずです。

そう考えると、未来のテクノロジーを想像して描かれた漫画やアニメ作品よりも、現実の今のテクノロジーのほうが一歩先をいっているとも言えます。一昔前には想像もできなかったような技術が実現化している、ということに感慨を覚えずにはいられません。
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