大前研一「ドローンが生み出す新たな市場。進化する位置情報技術」

【連載第3回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

記事のポイント

本連載では大前研一さんが「位置情報ビジネス」を中心に、テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルの実例を解説します。連載第3回は、巨大市場へ拡大する「ドローン」の可能性についてお話いただきました。

*本連載は2016/5発行の書籍『大前研一ビジネスジャーナルNo.10(M&Aの成功条件/位置情報3.0時代のビジネスモデル)』の内容をもとに再編集しお届けしています。書籍としてまとめて読むなら↓ぜひコチラから!
http://g10book.jp/contents/journal
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前回までの記事はコチラ

●連載第1回:大前研一「位置情報3.0。テクノロジーの“俯瞰”によって見えてくるもの」
http://biblion.jp/articles/v5a6A

●連載第2回:大前研一「市場規模62兆円。位置情報ビジネスの可能性」
http://biblion.jp/articles/RTuqy

小型無人航空機「ドローン」の底力

●ドローンは中国企業DJIが独占状態

2020年には約62兆円になるとも予測される位置情報ビジネスの可能性は、ひとえに位置情報技術の進歩あってこそといっても過言ではありません。

現在の位置情報はさまざまな技術・要素によって支えられています。まずはGPS。
ビーコンなどの近距離センサー技術に、Wi-Fi、カメラ画像、Kinect、可視光、加速度、ジャイロ 、地磁気を利用した屋内における測位技術。それらに、クラウドデータをはじめ膨大に蓄積されたデータなど、さまざまな要素が連携します。

近年、こうした位置情報技術をスマホやタブレットを通して利用し、その進化に目を見張ってきた私たちですが、さらなる進化形デバイスとして今世界を賑わせているのは、なんといっても「ドローン」でしょう。
ドローンはもともと、軍事用に開発された小型無人航空機です。私流に言うならば、“電動竹とんぼ”といったところでしょうか。

このドローンの世界市場は、2014年時点で約650億円にまで拡大しています。この市場シェアの70%を握り、独占しているのが中国のDJI です(図-6)。
図ー6 ドローンの世界市場シェア

図ー6 ドローンの世界市場シェア

DJIトップのフランク・ワン・タオ氏は1980年、中国・杭州に生まれ、香港科技大学在籍中に同社を立ち上げました。いわゆる“ドローンマニア”なわけですが、日本では2015年4月に首相官邸の屋上にDJIのドローンが落下した際に注目を浴びました。この出来事を受けてDJIは早速、首相官邸や皇居周辺を飛行禁止区域とするシステム変更を行ったようです。

ほぼDJI独占のドローン市場ですが、他にはフランスのParrot 、米国の3D Robotics などがあります。
3D Roboticsの共同創業者のひとり、クリス・アンダーソン氏は、もともと雑誌『WIRED』の編集長だったのですが、趣味のラジコン飛行機製作が高じて立ち上げたドローンのオンラインコミュニティが同社創業のきっかけとなりました。

●わずか三十数万円でプロモーションビデオが撮影可能

ドローンは位置情報を非常に正確に把握することができるため、実に多様な使い方ができます。
その用途のひとつが、プロモーション映像の撮影です。ドローンを使用することで、これまでヘリコプターで撮影していた時では考えられないほど、簡単に、そして廉価に、プロモーションビデオが作れるようになりました。
図ー7 ドローンを使用したプロモーションビデオ

図ー7 ドローンを使用したプロモーションビデオ

図-7はドローンを使用して撮影・作成したプロモーションビデオのキャプチャ画像です。

左は広島県竹原市、右は伊豆半島の南にある須崎恵比須島という、人間がなかなか行きづらい場所にある島を撮影しています。
着陸距離の問題やコストが高いなどの問題で、従来のヘリコプターでは気軽にできないことも、ドローンを使用すれば、技術の熟達度は必要とはいえ、ほんの三十数万円でできてしまうというわけです。

撮影に使用した機種はDJIのPhantom3で、カタログによると最大飛行時間が約23分。バッテリーが20%を切ったところでホームポイントに戻るシステムです。そうでないと、撮影するたびに落下して三十数万円がパーになってしまいます。
須崎恵比須島の撮影では、ドローンの操縦士はフェリーの上にいて操縦していますが、あらかじめプログラムしておいたルートを飛行させることも可能です。

●ドローンが人を乗せて飛ぶ可能性も

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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部