大前研一「位置情報3.0の効率化。アマゾン物流からゴルフ場芝刈りまで」

【連載第4回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

記事のポイント

本連載では大前研一氏が「位置情報ビジネス」を中心に、テクノロジーを活用した新しいビジネスモデルの実例を解説します。連載第4回は、さまざまな分野で活用が進む位置情報技術についてお話いただきました。

*本連載は2016/5発行の書籍『大前研一ビジネスジャーナルNo.10(M&Aの成功条件/位置情報3.0時代のビジネスモデル)』の内容をもとに再編集しお届けします。
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位置情報3.0時代の業務効率化とは

コマツの位置情報活用サービスの広がり

前章では、位置情報がさまざまな分野に影響を与えることをお伝えしました。では具体的に、どのような事業において改革が起こっているのでしょうか。その具体例に迫っていきたいと思います。

建設機械のコマツ(小松製作所)は、かねてよりGPSを使った建機のポジティブメンテナンスを行っています(図-10)。
「KOMTRAX」と呼ばれる車両管理システムにはGPS、通信システムが装備されており、車両内ネットワークから集められた情報やGPSによって取得された位置情報が、通信システムからデータサーバに送信されます。

サーバに蓄積されたデータはインターネットを通じて、建機使用者(顧客)やコマツの販売代理店などに提供。このシステムによって、保守管理、車両管理、稼働管理、車両位置確認などユーザーの車両管理業務をサポートしています。

中国では、建機のローン支払いが途中で止まると、建機を動かないようにしてしまう、あるいは盗難にあった場合にエンジンを止めると同時に場所を特定する、といったことにも利用しているようです。

さらに最近では、建設・土木現場の施工作業を支援するスマートコンストラクション「KomConnect」というサービスも拡充させています。
ドローンや3Dレーザースキャナーなどを使ってあらかじめ現場を3Dモデル化し、さらに完成図面も3Dデータ化。土質・地下埋没物などのリスク調査や解析、施工計画の立案を行い、ICT搭載建機を使ってシミュレーション通りに施工していく、というものです。

工事費の削減に繋がることなどから、公共工事においてはこうした手法が必須となっていくことが予測されますので、今後、建設機械分野では取り入れていかざるを得ないでしょう。
図-10 コマツの位置情報システム

図-10 コマツの位置情報システム

GPS搭載の農機から、いずれは自動田植え機まで進化

農業建機などの製造・販売を行うヤンマーは、「スマートアシスト」というシステムを開発しています(図-11)。
これは、日本の農業従事者の多くがシニア層であることも考慮し、トラクターやコンバインにGPSやセンサーを装着し、農機の位置や稼働情報を遠隔管理することで、農場経営をサポートするものです。

作業内容をログで取っておき、例えば、1年前の×月×日にこんな作業をしました、という履歴が誰でも分かるようにしてくれる。
稼働状況に応じてメンテナンスを提案し、機械にトラブルが起きた場合はエラー箇所を早期に把握するなど、アフターサービスも強化することで、顧客の囲い込みを図っています。

今後はおそらく、自動コンバイン、自動田植え機というように、自動稼働の方向に進んでいくのではないかと思います。
図ー11 ヤンマーの「スマートアシスト」

図ー11 ヤンマーの「スマートアシスト」

アマゾンの倉庫を縦横無尽に走るロボットKiva

物流では、アマゾンに注目です。ドローンによる配達を試みたことでも話題となったアマゾンですが、同社の最も驚くべき点はドローンではなく、ウェアハウス=倉庫です。

アマゾンは2012年にKiva Systemsというロボットの会社を買収しました。
そして、ひとつの配送センター内につき同社の物流ロボットKivaを数千台という数で導入しました(図-12)。

従業員の指示によって、Kivaそれぞれがものすごいスピードで縦横無尽に走り回り、パッキングした商品を運ぶだけでなく、商品ラックごと持ってきてパッキングステーションに下ろすことまで、全自動で行っています。YouTubeでその様子を見ると本当に驚きます。
図-12 Amazonの物流ロボット

図-12 Amazonの物流ロボット

ロボットたちには、周囲の物体の動きを検知するモーションセンサーが搭載されていますので、お互いぶつからないように移動ができます。

このロボットを他の企業に使わせないように会社ごと買収するなど、アマゾンほど物流に膨大な投資をしている会社はないでしょう。
日本では小田原に大型物流センターを造り、このKivaを取り入れています。
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部