その出版企画を一番ユニークに見せられる切り口を探す方法【出版社をやってみて分かった「本と企画のつくり方」】

【第2回】この連載では、本Webサイト「biblion」も運営している出版社(株式会社masterpeaceと申します)でこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行をお手伝いさせていただいた筆者(代表兼編集者をやっております)が、自社でお手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験からお伝えできる範囲で「シンプルな本づくりのポイント」をお話させていただきます。

前回の記事では、「本づくりを成功させるための3つのポイント」のひとつとして、「何のために本を作るのか(プロジェクトの目的)」を正確に(自分に正直に!)確認することが大切だ、とお伝えしました。

「何をもって成功なのか?」を先に決めてから始めないと、意外と大変な本づくりとその後の販売の過程のなかで、大切にすべきことが分からなくなってしまいがちだからです。
今回の記事では、「本づくりの3つのポイント」の残り、「企画(著者)が一番ユニークになれる切り口を探す」について書きたいと思います。

弊社で書籍企画のご相談をいただいたときや、自社出版企画を考えるときは、今回ご紹介する2つのポイントのバランスがどうやったら取れるか、を何度も考えるようにしています。

2つのポイントの片方がずば抜けていてもうまくいかないことが多いので、「できるだけ高い位置でバランスが取れている企画」にできるとよいな、、と思っています。

【2】企画(著者)が一番ユニークになれる切り口を探す

①「その企画(著者さんの話すコト・書きたいコト)の何がおもしろいの?」

②「似たテーマのコンテンツって他にもあるの?」

企画を考えるときには、まずこういったQuestionを頭の中で問いかけています。

まず、その企画自体に興味が持てるかどうか。
やはり最初はこのシンプルな問いかけから始めます。

この企画の何がおもしろいのか?を、想定読者を含めてイメージする

「こういう本が出来たら売れそう、、」など、いろいろ考えたくなってしまうのですが、まず「おもしろそうかどうか」は本づくりを始めるうえで大切です。
おもしろくない企画(あるいはおもしろさが人に伝えられない企画)では、本づくりのモチベーションを維持することも難しくなってしまいますしね。

編集者さんなら第三者として、客観的に考えることもできるかもしれませんが、とくに著者さんの場合は自身の企画について、ついつい主観的におもしろく感じすぎてしまう場合が多くなりがちです。

その場合は、考えている書籍ができたと仮定して、想定している読者(できたら著者が知っている実際の人物を想定)に対面で書籍をオススメするときにどう説明するかをイメージしてみてください。
オススメのポイントが明確で、イメージのなかで相手も「そりゃいいや!買うわ!」となりましたでしょうか?
イメージの中で相手が「うーん。。」と言ってしまったら、おそらく作っている途中に著者さん自身が迷うことも多くなるかと思いますし、もちろん完成した書籍が想定読者に受け入れられることも難しくなります。
(もちろん「誰もがおもしろがる」必要はありません。読んでほしい「想定読者」がおもしろがってくれればよいのです。)

作り手側に立つと多くの企画が「めちゃめちゃおもしろく」感じられるようになりますが、実際に読んでほしい人におもしろさが伝わり、受け入れられる本は必ずしも多くありませんので、ここのおもしろさの評価は少し厳しめに考えたほうがよいと思います。

企画は目に見えるように書き出して見直しましょう

昔から言われることですが、企画を寝かして、後日客観的に見直すことも効果的です。
そのために、後から見直せるように企画を「目に見える文章」に書き出すことが必要です。

頭の中にしかない企画はわりと穴だらけで、具体的な内容が実は詰まっていないことが多いので、「企画は書きだす」ことをぜひオススメします。
書き出し方は、紙でもデジタルデータでも、きれいな企画書やスライドにまとまっていなくてもよく、箇条書きのテキストでも十分だと思います。

企画のライバルがだれかを考えてみる

うん!この企画、やっぱりおもしろいわ!ということであれば、2つめのQuestion「似たテーマのコンテンツって他にもあるの?」を調べてみましょう。

「コンテンツ」には、書籍・雑誌・Web記事・動画、、などさまざまな形式が含まれます。お手軽に、GoogleやAmazon上の検索を使って、企画の切り口となるキーワード(複数想定されると思います)を検索してみましょう。

もちろん、同様の企画がすでに世の中にあるからといってダメというわけではありません。
たとえば、
「Webコンテンツとしては多くみられるが、体系立てられた書籍がまだ出ていないテーマで出版する」
といった企画は十分に成立するでしょう。

情報が広がるスピードとしては、「Webメディア」⇒「雑誌社」⇒「出版」という傾向にあるので、まだ「出版」までトレンドの波が来ていない半歩進んだ企画を拾い上げてカタチにすることは実現可能です。

Webメディアの前には「コミュニティ(小規模イベントやサロン、勉強会)」があるようにも感じますが、ここまで進んだテーマを書籍化しても、広がらない(広げる必要がなくて、コミュニティで深く掘りこんだ情報をやり取りするのが向いている)可能性が高いかも、と私は思います。
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実績・類書ばかりから企画を考えているとレッドオーシャンから抜け出せない

ただし、
「すでに書籍として同様の企画が山ほど出版されているが、あえて出す」。
こういった企画はなかなかハードな勝負を挑むことになります。

もちろん、類書(同じテーマの本)が出ているということはある程度読者層が存在する「固い企画」とも言えるのですが、本づくりとしてはいわゆるレッドオーシャンで勝負することになるので、その競争に勝てる根拠が必要となります。

逆にいうと、一定の読者が想定できるのに類書が出版されていない企画は、宝の原石です。半歩先に進んだ、かつおもしろいテーマということになりますが、こういった企画をいち早く書籍化することには可能性があり、また本づくりをお手伝いする者としてもチャレンジする意義の大きな企画といえます。

読みが外れて、まったく売れない企画となることもあるとは思いますが、より多くの読者を誘導する可能性がある企画だと思います。

100匹目のどじょうは、選ばれる理由を作りづらい

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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部