大前研一「位置情報3.0の効率化。アマゾン物流からゴルフ場芝刈りまで」

【連載第4回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

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寺岡精工のエンジニア&顧客マッチングのソリューション

全国の小売店で使用されている計量器やPOSシステムなどを製造する寺岡精工 は、製品の稼働状況を24時間365日コールセンターで監視し、センターには現場経験7年以上のオペレーターを常時配置しています(図-13)。
何かあればいつでもオペレーターが遠隔で、顧客の端末のメンテナンスを行えるというわけです。
図-13 寺岡精工のサポートサービス

図-13 寺岡精工のサポートサービス

さらに全国140カ所以上の拠点に600名以上のフィールドエンジニアを備えていますので、トラブルを抱えた顧客に最も迅速に対応できるエンジニアを派遣することも可能です。
これは言ってみればオーソドックスなやり方ですが、IoTと組み合わせて、部品ごとの摩耗状態や温度変化などを測って異常を検知していくことで、予防保全へと繋げていくことができます。
 
シスコシステムズなども自社のルーターを同じようなかたちでモニターしています。
いずれにしても、このようなフィールドエンジニアの測位、つまりエンジニアの行動スケジュールの把握と、直近の顧客への派遣というサービス事業が、中核事業のひとつになっているということです。

継続的な営業から市場動向の把握までを可能にする「GPS Punch!」

レッドフォックス という東京のベンチャー企業が開発した、クラウドサービス「GPS Punch!」は、今後みなさんがすぐに活用できるものではないかと思います。
どのようなサービスかというと、スマホやタブレットなどスマートデバイスのGPSをクラウド活用し、営業・保守・建設など、あらゆる現場の業務効率アップを支援するものです(図-14)。
図-14 「GPS Punch!」

図-14 「GPS Punch!」

例えば法人営業の場合。当日行く予定の営業先をスマホに入れると、ルートが出てきます。そして、その通りに行っているかどうかを、チーム内でリアルタイムに共有します。
営業後は、どのような商談をしたのか、電子報告書に記載すれば、そのまま日報として上司やチームメンバーが閲覧できる。チーム全員がこれを行うことで、業務の効率アップが図れるということです。

また、現状では営業マンの引き継ぎというものは難しいものがあり、せいぜい担当顧客の名前を引き継ぐくらいしかできないのですが、このサービスを利用すれば、訪問履歴や商談内容を含めて、次の担当者に引き継げます。
そのようになれば、会社としても継続性のある営業ができることになるのです。
また「GPS Punch!」の保守・メンテナンス業務のソリューションとしては、同サービスを使うことで検査員が位置情報とビフォー・アフターの写真付きで検査報告ができます。

また、外勤スタッフの出勤、訪問、休憩などを記録し、位置情報と合わせることで勤怠のエビデンスとして残すこともできます。さらに、報告書を利用し、製品の市場からの反応を現場担当者から収集することで市場動向の把握にも役立ちます。

おそらくこのクラウドサービスは将来的に、まだまだ多様なソリューションが生まれていくでしょう。
例えばSNSと連動することで、顧客の関心やローカル情報を関連づけたセールストークが営業活動で可能になる。

また、センサーとの連動で機械の故障等を自動検出するなど、保守業務の効率化。さらに、市場動向に合わせて店舗在庫を自動検知して自動発注するなど、あらゆる業務で可能性を秘めているように思います。

ゴルフ場管理費の65%を占める芝刈りコストを半分に

ゴルフ場の芝刈りも位置情報の利用で効率化が進んでいます。
電子機器事業などを手がける東京のマミヤ・オーピー と米国の芝刈り機メーカー大手Jacobsen が共同で、自動芝刈りロボットを開発しました(図-15)。
図-15 ゴルフ場用芝刈り機

図-15 ゴルフ場用芝刈り機

マミヤ・オーピーの自律移動制御モジュール「I-GINS®」は、3軸ジャイロセンサー、GPS、無線通信、障害物検知機能を搭載しています。
この「I-GINS®」とJacobsenの芝刈り機を機器間通信することで、自動制御の芝刈りロボとなるわけです。

どのようなことができるかというと、GPSでゴルフ場の高精度地図を生成し、フェアウェイ、ラフ、グリーンなど、自動生成した軌道で予定通り夜のあいだに芝を刈ってしまう。時速10kmで芝刈りしながら走行するのですが、設定した軌道に対して3〜5cmという精度を維持できるというから驚きです。

タブレットなどで簡単に操作できますし、もちろん必要に応じて自動から手動へ切り替えて、通常マニュアル運転も可能です。これがあると、たったの20分ほどで1ホールの芝刈りが完了します。

導入価格は1台で7〜9万ドル(1000万円前後)。通常ですとゴルフ場管理費の65%を芝刈り費が占めるとも言われますが、そのコストを半減することができるため、導入すれば3年で償却できる計算です。

ゴルフをされる人はご存知かもしれませんが、ゴルフ場は意外と、位置情報に支えられている場所なのです。
芝刈りのような裏方のメンテナンスはもちろん、表のプレイヤーのほうも位置情報にサポートされることがあります。私が以前行ったオーストラリアのゴルフ場では、GPSを使ってプレイヤーに「ピンまであと何メートルです」と知らせるようなサービスもありました。
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部