【後編】東急パワーサプライ村井健二氏に聞く「電気を通して作る生活モデルと電力業界が求める人材像」

【連載4回目】電力業界への「異業種企業の新規参入」の代表格である株式会社東急パワーサプライ。鉄道や百貨店、不動産、ホテルなどで知られる東急グループの電力業界参入には、どのような背景があったのか。〝沿線密着〟〝地域特化〟型ビジネスモデルについて、代表取締役社長の村井健二氏にお話を伺いました。(インタビュアー:一般社団法人エネルギー情報センター理事・江田健二氏)

求める人材は「電力のプロ」「多種多様な生活体験をイマジネーションできる人」

少し人材、採用関連のお話をさせていただきます。それぞれの部署によって求められる適性は違うとは思いますが、貴社全体としてこれから必要な人材のイメージはどのようなものでしょうか。

現在社員は50~60名ですが、それぞれの出身業種は10数種にも上り、非常に多様化が進んでおります。もちろん電力のプロも多数おりますが、私どもの企業スローガンが「生活体験の提案」ですから、やはりそれなりにいろいろなビジネスを経験してきた人たちが揃っています。

その中でまず1つは「電力のプロ」を求めますということですね。私どもがいくら異業種参入組で小売に特化していると申しましても、やはり電力のサービス群の中におりますので、プロ中のプロ、一流のプロは必要です。
大手電力会社出身や、新電力の小さい会社で業績を伸ばしてこられたような方で、〝イキのいい方〟が欲しいところです。
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もう1つは、「多種多様な生活体験をイマジネーションできる人」を広く求めています。
繰り返しになりますが、よそとは大きく違う私どもの特徴は、東急グループ全体を挙げて、電気サービスに様々な生活サービスのネタをトッピングで載せていくところにあります。
東急グループのいろいろな商材を複合的に組み合わせてコンビネーション化していくためには、いろいろな業種の人がいたほうがよいというわけです。

先ほどお話ししたようにケーブルテレビ事業者と組んだ例がありますが、今後はさらにいろいろな業種業態の方々とご一緒させていただくケースが増えていくと思います。
そうしたときにしっかりと手を組むためには、こちらも専門知識を持った人材を担当にする必要があります。そういう意味で、東急グループ各社の業態に合わせて、不動産出身の人やリテール系の人などももっと必要になってくると思います。

今後、新卒者の採用も検討されると思うのですが、求められる人材のイメージは例えばどのような学生ですか。

これもまた先ほどお話しした2種類になると思います。言い換えれば、「電力のプロ」は理科系のエキスパートということです。
そしてこれからの電力業界に必要なのは、電気工学的な技術や知識だけではなくて、いわゆるITの分野のそれらです。
ですから、従来なら電力業界にあまり興味がなかったような情報通信技術の分野の勉強をした皆さんにもぜひ来ていただきたいです。

それから、「多種多様な生活体験をイマジネーションできる人」というのは、いわばマーケティングのセンスの持ち主ということです。
私どもは常に、どうやってマーケティングしていくかというアイデアを考えています。これは多分今までの電力業界にはなかった考え方ではないでしょうか。
現状ではまだ国民の2%しか新電力に移っていないわけですから、残りの98%をどうやって市場として開拓するか。ここにおもしろさを見出せる人材が欲しいところです。

ルールが〝常に形成され続ける〟電力業界をめざして

最後に、今後の電力業界全体について描かれているイメージなどがありましたらお聞かせください。

業界全体について心の底からお願いしたいことがあるとしたら、公正な競争を担保するルールが〝常に形成され続ける〟ということです。
発電・送電・小売の3つの事業が、それぞれ等しく潤うことができるような公正さ、これを実現できるような新しいルールづくりを絶えずしていくということ。これはもちろん非常に難しい話ではありますが、ルール自体が固定で不変であるとかえって不公平を生じることもありますから、常にルールの見直しを図っていくことが重要だと思います。

例えば、これは欧米の話ですが、ある10年を抜き取ると発電業者は儲かり小売業者は駄目な時代があります。そこでルールを変えると、今度は次の10年は小売が元気で発電が静かになってしまう。

ルールは人為的なものですし、何をもって公正とするかということも永遠に議論し続けなければならないテーマです。ルールが〝常に形成され続ける〟と申し上げたのはそういうことです。業界全体が硬直化してしまっては駄目なのです。
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今回はこういう難しさ、流動性にリスクを感じてこの業界に参入してこられなかった方々も多くいらっしゃったのではないかと思います。
しかし私どもは、エネルギー産業のそうした流動性を承知して、リスクも全部呑み込んだ上で、それでも沿線での顧客基盤強化をめざしたわけです。
沿線の住民の方々にとって総合的な生活サービスを提供する役割を担っていきたいという気持ちがリスクを上回った結果です。

先日、米国カリフォルニア州でトヨタ自動車のプリウスなどのハイブリッドカーがエコカーの対象から外されるという報道がありました。
厳しい排ガス規制がさらに強化された結果ですが、このように政策の変化への対応を直接的に強いられるのはこの業界も同様ですし、その必要がこの先もずっと生じてくるはずです。
今はまだ電力市場開放がスタートしたばかりですが、今後の展望を考えれば電力業界は非常に奥の深い産業だと思います。その中で何か新しいことをしたいという志を持った方はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
(今回で本連載は終了となります)
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部