本連載は、書籍『財務はおもしろい 老舗企業の思考から学ぶ、"百年続く中小企業経営"の教科書 (数字を使わずカンタンに理解するカベヤ式)』(2019年7月発行)を、許可を得て編集部にて再編集し掲載しています。
財務はおもしろい~数字を使わず理解する財務の教科書~
財務の基礎となる「財務諸表」「 貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」について、こちらの連載でお伝えしています。 多くの企業・経営者の経営コンサルティングから生み出された「数字を使わず経営を理解するカベヤ式財務のノウハウ」。数字を極力使わずに、さっと短時間で財務の全体像と重要ポイントを紹介します。
100年続く会社にするための心得とは
永く続いている会社にはいろいろな特徴や要素があるのですが、どの会社も絶対に外していない点があります。
それは、「無理な経営をしていない」ということです。無理な経営をしようとすればするほど、会社は苦しくなっていきます。
よく老舗の社長が共通しておっしゃる言葉(考え方)に「これはちょっと無理だな、というラインを乗り越えようとしないで、適度な成長を目指すことが大切」というものがあります。こうした意識は息の長い経営をするために非常に重要なポイントだと思います。
永く続いている会社は、人の採用、借り入れ、売上の立て方、仕入れの方法など、全てをどうやったら無理なく続けられるのかという観点で見ていて、いかに利益を出すのかよりも、いかに永く続けられるのかを軸に考えています。
そのような会社は、必ず着実なキャッシュフローの仕組みを持っています。それがすなわち信用形成というものです。
そうした会社は、今いるお客様に「もっとこの会社にお願いしたい」と思ってもらい、そのお客様から次の紹介が生まれ続ける仕組み、仕掛けを大切にしているのです。
これからさらに社会の二極化、企業の二極化が進むと言われる時代に、日本の会社、特に中小企業は、この「無理をせずにしっかりと目の前のお客様を大切にし、自社のファンを増やしていく着実な経営」が求められるでしょうし、そうした会社がこれから「100年続く会社」になっていくのだと思います。
老舗企業の「無理な経営をしない」「一定のラインを乗り越えない」という考え方は、別の言い方をすれば、自分たちの強みを活かして「自分たちらしい経営」をする、ということです。
自分たちらしく、自分たちなりの「長期繁栄」の仕組みを考えるのです。
そして利益よりも先に、永く続けることに軸を置いた無理をしない経営を行う。その上で、お客様が本当に何を欲しているのかを考えて、それを提供するために最大限の力を尽くす。経営においてはこの順番が大切だと私は考えています。
今の日本には、この順番を間違えている、読み違いをしている会社が非常に多く見受けられます。先に利益を考えてビジネスをしようとするから失敗するのです。
そうではなくて、まず、「このお客様は今何を欲しているのだろうか? 顧客の求めている価値とは何か? 悩みは何か?」を考える。それが本来のビジネスのあり方なのです。
それは、「無理な経営をしていない」ということです。無理な経営をしようとすればするほど、会社は苦しくなっていきます。
よく老舗の社長が共通しておっしゃる言葉(考え方)に「これはちょっと無理だな、というラインを乗り越えようとしないで、適度な成長を目指すことが大切」というものがあります。こうした意識は息の長い経営をするために非常に重要なポイントだと思います。
永く続いている会社は、人の採用、借り入れ、売上の立て方、仕入れの方法など、全てをどうやったら無理なく続けられるのかという観点で見ていて、いかに利益を出すのかよりも、いかに永く続けられるのかを軸に考えています。
そのような会社は、必ず着実なキャッシュフローの仕組みを持っています。それがすなわち信用形成というものです。
そうした会社は、今いるお客様に「もっとこの会社にお願いしたい」と思ってもらい、そのお客様から次の紹介が生まれ続ける仕組み、仕掛けを大切にしているのです。
これからさらに社会の二極化、企業の二極化が進むと言われる時代に、日本の会社、特に中小企業は、この「無理をせずにしっかりと目の前のお客様を大切にし、自社のファンを増やしていく着実な経営」が求められるでしょうし、そうした会社がこれから「100年続く会社」になっていくのだと思います。
老舗企業の「無理な経営をしない」「一定のラインを乗り越えない」という考え方は、別の言い方をすれば、自分たちの強みを活かして「自分たちらしい経営」をする、ということです。
自分たちらしく、自分たちなりの「長期繁栄」の仕組みを考えるのです。
そして利益よりも先に、永く続けることに軸を置いた無理をしない経営を行う。その上で、お客様が本当に何を欲しているのかを考えて、それを提供するために最大限の力を尽くす。経営においてはこの順番が大切だと私は考えています。
今の日本には、この順番を間違えている、読み違いをしている会社が非常に多く見受けられます。先に利益を考えてビジネスをしようとするから失敗するのです。
そうではなくて、まず、「このお客様は今何を欲しているのだろうか? 顧客の求めている価値とは何か? 悩みは何か?」を考える。それが本来のビジネスのあり方なのです。
via www.amazon.co.jp
財務はおもしろい 老舗企業の思考から学ぶ、"百年続く中小企業経営"の教科書
¥1,800
「会社にとって財務とは何か」「会社を永く続けるとは何か」など、健康な会社経営のノウハウや老舗企業が100年続く経営の仕組み、財務の考え方から企業が永続的に続くための秘訣を学ぶことができます。
販売サイトへ
販売サイトへ
価値の提供のお返しに戻ってくるのは「お金」だけでなない
経営とは、その会社がお客様に、世の中に、価値があるものを提供していくということです。世の中に何か価値あるものを届けるから利益(お金)を得ることができるわけです。
ここで皆さんに考えてほしいことがあります。この先、会社としてさらに成長していきたいとお考えでしたら、ぜひ知っておいていただきたいことです。
お客様に価値を提供したら、貰えるものはお金だけでしょうか?
他にもっと何かあるのではないでしょうか?
何が言いたいかと言うと、キャッチボールのように価値というボールを投げた時、そのボールが何らかの形で返ってくるのですが、それが必ずしもお金で返ってくるかどうかは分からないということです。
ただ、ビジネスである以上、基本的にはお金という形で貰わないといけないのですが、ここで重要なのは、全ての価値のお返しを全部お金で貰う必要性はない、ということです。
お金以外のものとは、例えば称賛であったり、感謝、つまり「ありがとう」という言葉だったりするものです。お金に追加して、「ありがとう」という感謝の気持ちが貰えるのです。人からの感謝の気持ちというのは、言ってみればエネルギーの一種です。
お客様は「ありがとう」という気持ちのエネルギーが心の中にたくさん貯まったら、自然としたくなることがあります。それは、ありがとうという気持ちにしてくれた相手に何か「返す」ということです。
皆さんも、誰かにすごくお世話になったり助けてもらったりしたら、その相手に何かお返しをしたいと思いますよね。
ビジネスでも同じです。お客様から別の新しいお客様の紹介が来るかもしれないし、場合によってはネットで情報発信をしてくれるかもしれません。何が返ってくるか分からないのです。だから必ずしも、提供した価値のお返しを全てお金で貰う必要性はないのです。
繰り返しになりますが、重要な基本セオリーは、自社の商品やサービスの価値をできる限り上げて、その価値に見合う最大の価格をプライシングするということです。そして、できればその価格以上の価値、プラスアルファの価値を加えてさらにどんどん提供していく。
この価値というボールを徹底的にお客様に投げ続けると、お客様側に、「ありがとう」というエネルギーがどんどん貯まっていくのです。そのエネルギーは、いつか必ず爆発したり循環したりして皆さんのもとに何かしらの形で戻ってきます。
皆さんも、お客様にどんな価値をどんな値段で提供するべきか、常にこのことを考えて、そこに集中して経営に臨んでみてください。
そうした考えをしっかり身に付けて初めて、老舗企業のように永く続く会社のスタート地点に立てるのです。
ここで皆さんに考えてほしいことがあります。この先、会社としてさらに成長していきたいとお考えでしたら、ぜひ知っておいていただきたいことです。
お客様に価値を提供したら、貰えるものはお金だけでしょうか?
他にもっと何かあるのではないでしょうか?
何が言いたいかと言うと、キャッチボールのように価値というボールを投げた時、そのボールが何らかの形で返ってくるのですが、それが必ずしもお金で返ってくるかどうかは分からないということです。
ただ、ビジネスである以上、基本的にはお金という形で貰わないといけないのですが、ここで重要なのは、全ての価値のお返しを全部お金で貰う必要性はない、ということです。
お金以外のものとは、例えば称賛であったり、感謝、つまり「ありがとう」という言葉だったりするものです。お金に追加して、「ありがとう」という感謝の気持ちが貰えるのです。人からの感謝の気持ちというのは、言ってみればエネルギーの一種です。
お客様は「ありがとう」という気持ちのエネルギーが心の中にたくさん貯まったら、自然としたくなることがあります。それは、ありがとうという気持ちにしてくれた相手に何か「返す」ということです。
皆さんも、誰かにすごくお世話になったり助けてもらったりしたら、その相手に何かお返しをしたいと思いますよね。
ビジネスでも同じです。お客様から別の新しいお客様の紹介が来るかもしれないし、場合によってはネットで情報発信をしてくれるかもしれません。何が返ってくるか分からないのです。だから必ずしも、提供した価値のお返しを全てお金で貰う必要性はないのです。
繰り返しになりますが、重要な基本セオリーは、自社の商品やサービスの価値をできる限り上げて、その価値に見合う最大の価格をプライシングするということです。そして、できればその価格以上の価値、プラスアルファの価値を加えてさらにどんどん提供していく。
この価値というボールを徹底的にお客様に投げ続けると、お客様側に、「ありがとう」というエネルギーがどんどん貯まっていくのです。そのエネルギーは、いつか必ず爆発したり循環したりして皆さんのもとに何かしらの形で戻ってきます。
皆さんも、お客様にどんな価値をどんな値段で提供するべきか、常にこのことを考えて、そこに集中して経営に臨んでみてください。
そうした考えをしっかり身に付けて初めて、老舗企業のように永く続く会社のスタート地点に立てるのです。
(この連載は今回で終了となります)
書籍著者:壁谷 英薫さん
愛知県出身。一橋大学商学部在学中三年次に公認会計士試験合格。KPMGあずさ監査法人に入社、監査及びコンサルティング業務に従事。 製造業やサービス業の証券取引法(金融商品取引法)監査、会社法監査、米国上場企業の監査に携わる。大手銀行の国際会計基準の合併監査を手掛ける。入社四年目以降は大手商社などのコンサルティング業務に携わる。 2011年 壁谷公認会計士事務所設立。「子供達の目標となる、輝く大人が溢れる世界の実現」をミッションとして掲げ、会社のミッションとビジョンを作成し、ビジョン実現のための戦略作り、体制づくりの経営コンサルティングを会計面、経営面、税務面から提供している。
9 件