大前研一「狭い日本はクオリティ型農業で勝負せよ」

【連載第2回】今、日本の農業は変わらなければならない。食料安保、食料自給率、農業保護などにおける農業政策の歪みにより日本農業は脆弱化し、世界での競争力を失った。本連載では、IT技術を駆使した「スマートアグリ」で 世界2位の農産物輸出国にまで成長したオランダの農業モデルと日本の農業を照合しながら、日本がオランダ農業から何を学び、どのように変えていくべきかを大前研一氏が解説します。

では、オランダ、ドイツ、フランスなど農地面積の小さい欧州の国々はどうでしょうか。
ボリュームでは勝負できませんので、EU加盟国としての強みを生かし、最適生産をするようになりました。特定の農産物に特化し、新たな価値創造を重視するクオリティ型で、小さい土地ながら生産性を高めています。
日本もこのクオリティ型の農業モデルを目指すべきですが、現状は非常に中途半端な状況です。

ボリューム型は穀物を大量に作る

図-5をご覧ください。ボリューム型とクオリティ型では、主要農産物が異なります。
ボリューム型の国は、小麦、トウモロコシ、大豆などの穀物と牛肉が主要農産・畜産物です。
穀物はやはり、米国が強いです。牛肉でオーストラリアが強いのは、「オレンジ牛肉交渉」 で開放したところ、オーストラリアの牛肉が米国に入っていったという事情が背景にあります。
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クオリティ型はキログラム単位で売る野菜など

一方でクオリティ型の国は、トマト、じゃがいも、花卉(かき)類、チーズなどが主要農産・畜産物です。トマトはメキシコが強いですが、他はオランダが非常に強い。チーズも1位のドイツと大差ありません。

このように比較すると、簡単にいえば1トン単位で売るようなものがボリューム型であり、キログラム単位で売るものがクオリティ型だと言えるでしょう。クオリティ型には、山形のサクランボのように、グラム単位で売るものもあるかもしれません。
(次回へ続く)
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部