「働く」の未来。仕事はAIではなく人間が創り出す

【連載第6回】iPhoneもPepperも。孫正義氏と共に常に最新のテクノロジーを日本へ普及させ続けてきたソフトバンク首席エヴァンジェリスト中山五輪男氏。本連載では中山氏が“AIが生み出す「人の働く」への変化”を、遠い先ではないすぐそこにある未来として解説します。本連載のインタビュアーは、自身もワーキングマザーとして働きながら、クラウドを活用したワークスタイル変革に取り組む、リコージャパン古川いずみ氏に担当いただいています。

古川:今は先が見えない時代ですが、中山さんご自身は今後、例えばこの先10年、20年はどういう働き方をしているだろう、もしくはしたいという展望はありますか?

中山:私自身の希望としては、今のこの「ソフトバンクの首席エヴァンジェリスト」という名前をもっと広めていくことでしょうか。
ワークスタイル変革においてもエヴァンジェリストの役割が重要です。私は、どんな分野においてもエヴァンジェリストは非常に重要だと考えていて、各企業に必ず1人はいるべきだと思っています。
私もさらにエヴァンジェリストとしての活動の幅を広げていきたいですね。また今ではなく定年スレスレでもいいのですが本を書きたいですね。そこでエヴァンジェリストの在り方みたいなところをじっくりと語ります。企業におけるエヴァンジェリストの活用についての本を書きながら、あとは講演活動で全国を回っていろいろな会社をサポートできたらいいですね。
エヴァンジェリストをどう育成したらいいのか、そもそもエヴァンジェリストは何をやったらいいのか、または、エヴァンジェリストに限らず新しいデバイスでどうやってワークスタイルを変えていったらいいのかなどを指南するような役割を果たしたいと思っています。

古川:「なぜエヴァンジェリストが必要か」と問われたら、どのような回答をされますか?
中山:各企業には営業担当者がいますよね。会社の中にプレゼンのうまいエヴァンジェリストが1人いると、他の営業担当者が勉強するようになり、営業担当者全体のレベルが上がります。
商談の30分、1時間をどういうふうに使い、起承転結でストーリーを作ってお客さまを感動させて「ああ、じゃあ分かった、買うよ」とお客さまにハンコを押してもらえるようなストーリーを作るか。資料の作り方や喋り方も含めてうまいプレゼンを行ったエヴァンジェリストを見習うことで、社員が成長していきます。
ソフトバンクの営業担当者にはプレゼンがうまい人が多いですよ。
自慢のようで恐縮ですが、やはり多くの社員が私のプレゼンを見て勉強しているようですし、もちろん孫がうまいので。孫のプレゼン映像も全て残っていますから、「ああ、ああいうところでああいうことを言うと説得力があるんだな」とか「企業の経営層に響くんだな」といったことを現場で学べます。
他の企業も、そういったところにもう少し力を入れたらいいのにと思っています。将来はそういった啓蒙活動もやっていきたいですね。
古川:確かに、中山さんや孫さんのプレゼンを見て勉強していくと、営業のやり方が変わってくると思います。

中山:会社の成長は結局は営業の力にかかっていると思っていますので。たとえいいものを作っても営業部隊がダメだとお客さまの心は掴めません。
古川:これからの日本は高齢化社会で、体も元気で頭もそこそこ動く60代、70代の人が増えていくと予想されます。
そういう人たちがテクノロジーの後押しによって、年齢を重ねても働きたい人は働けるという社会が来てほしいなと思うのですが、果たしてそんな時代が来るのでしょうか?

中山:大丈夫です。テクノロジーがそういう時代をつくります。でもそれは、健康な体があってのことですね。体は大事にしないといけません。
古川:中山さんは1964年の東京オリンピックの年にお生まれになったのですよね。
来る2020年、再び東京オリンピックが開催されますが、なにか20年に向けての抱負はありますか?

中山:20年ってもうすぐですよね。あと4年しかありません。
4年というスパンで見ると、そんなに大きな変革が訪れるかどうかはわかりませんが、ただ、ロボットにしても人工知能にしても、今あるものは進化しレベルが上がっていき、そうした中でオリンピックを迎えるでしょう。
願わくは世界最高レベルの人工知能のロボットを使ったオリンピックを実現させたいですね。国立競技場の周り、選手村、東京都内がロボットだらけになっていて、世界中の人々をサポートしている。そんなイメージを持っています。

古川:ロボットがおもてなしをするわけですね。

中山:そうです。ペッパーが、全世界60カ国の言葉を理解して流暢に喋るようになっているといいなと思います。どこの国の人に道を聞かれてもすぐ教えて、お店で買い物する時も通訳してくれる。そうなってくれるといいなと思いますし、決して夢物語ではないと思っています。
そしてもちろん、今後さらに人々の働き方がよりよい方向に変わっていき、皆が楽しく働く社会が実現し、世界から来る人たちに最高の笑顔を見せられたらいいなと願っています。
(連載 了)
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部