ソフトバンク史上初のエヴァンジェリスト。未来を見せる仕事術。

【連載第1回】iPhoneもPepperも。孫正義氏と共に常に最新のテクノロジーを日本へ普及させ続けてきたソフトバンク首席エヴァンジェリスト中山五輪男氏。本連載では中山氏が“AIが生み出す「人の働く」への変化”を、遠い先ではないすぐそこにある未来として解説します。本連載のインタビュアーは、自身もワーキングマザーとして働きながら、クラウドを活用したワークスタイル変革に取り組む、リコージャパン古川いずみ氏に担当いただいています。

本連載では、ソフトバンク初のエヴァンジェリストとしてテクノロジーを活用した新しい「働く」を追いかけ続ける中山五輪男さんのお話をご紹介します。第1回となる今回は、中山さん自身の働き方「エヴァンジェリスト」とは何か?を聞きました。

*本連載は2016/4発行の「エバンジェリストに学ぶ成長企業のためのワークスタイル変革教本Vol.2」の内容をもとに編集しお届けします。
http://g10book.jp/book/info/release/workstyle2

未来を指し示す「エヴァンジェリスト」という仕事

たった3人でスタートしたiPhone事業推進室

古川:中山さんは、ソフトバンクの首席エヴァンジェリストとして全国各地での講演やセミナーの開催、本の執筆など精力的な活動をされていらっしゃいますが、そもそも、エヴァンジェリストというお仕事をされるようになったのは、どのような経緯からだったのでしょうか?

中山:私はソフトバンクに入る前、いろいろな会社の仕事を経験しました。SEとしてグループウェアの開発を行ったり、映像配信ビデオサーバーのマーケティングマネージャーなども経験しました。中でも外資系企業のマーケティング部門にいたことが多かったので、もともと人前で喋る機会がたくさんあったのです。
2001年にソフトバンクに入社したのですが、iPhoneが日本に上陸した2008年に「iPhone事業推進室」という部署が作られて配属され、私も含めてたった3人でスタートしました。

古川:ソフトバンクさんといえども、iPhoneの事業推進は最初はスモールスタートだったのですね。

中山:はい。ですからすごく忙しかったです。アメリカとの交渉をしたり、国内でのサービス内容や価格を考えたりするなどの建付けをする人は当然必要ですが、お客さまに製品自体をアピールしていく人も必要になります。そこで、「じゃあ私はそのアピールする役割を『エヴァンジェリスト』(伝道師)という立場でやっていきます」と宣言したのです。私が以前在籍していた会社のアメリカ本社のエンジニアが「エヴァンジェリスト」という肩書を持っていたのですが、「伝道師」というのは非常に分かりやすいし、自分にもマッチしていると思ったのです。こうしてソフトバンクグループで初めて「エヴァンジェリスト」という肩書きを使うようになりました。
ソフトバンク首席エヴァンジェリスト中山氏

ソフトバンク首席エヴァンジェリスト中山氏

iPhone、Pepperと、ソフトバンクにおいて新製品展開の先頭に立つ中山氏。まさにエヴァンジェリスト(伝道者)だ。

Apple認定のエヴァンジェリストに

古川:今はだいぶ浸透してきた「エヴァンジェリスト」という仕事ですが、当時はまだまだよく分からないとか、不思議に思う方もいらっしゃったのではないですか?

中山:そうなんです。どこに行っても「えっ、なんですか、その仕事は?」という感じでした。
そんな中、転機になったのは「Softbank Summit 2008」というiPhoneの法人のお客様向けイベントでした。私はもちろん、当時社長だった孫正義(現会長)もお客さまの前でプレゼンをしたのですが、そのとき、アメリカのApple本社から幹部社員が6人くらい来ていました。そして私たちが使う画像や資料、喋り方などを全てチェックしていたのです。それを見たApple本社の幹部が「孫さんと中山さんのプレゼンは非常に良かった」と。さらに「孫さんと中山さんを、正式にiPhoneのエヴァンジェリストとして日本で活動することを認めます」との言葉をいただいたのです。こうして世界でも数少ないApple認定のエヴァンジェリストに認められたのです。

古川:そんなに少ないのですか?

中山:Apple社は、そもそもエヴァンジェリストを認めない会社なのです。スティーブ・ジョブズ以外はエヴァンジェリストとは言えないと。ですからこれはかなり異例のことらしいのです。それからはもう毎日、土日も含めて全国各地で年間300回ペースで講演しています。

古川:どんなところでどんな内容のセミナーや講演をされているのですか?

中山:リコーさんのような業種の企業もあれば、もちろんIT関連の企業が主催する講演会もあります。商工会議所主催といったセミナーもありますが、年間300回のうち約半分は個別に企業を訪問しています。企業を直接訪問して講演をすると、見事に製品が売れます。社長の前でプレゼンできると、社長がその場で「君たちも明日から全員iPhoneにしなさい」とか「さっそくiPadを導入しましょう」と言ってくれますから。一番販売台数の多かった年は、講演会だけで1年間で6万台の製品を販売し、おかげさまで孫から直々に社長賞もいただきました。

少し先の未来を見せてあげるのがエヴァンジェリストの役目

古川:中山さんは大学や専門学校などでも講義をされていますが、学校ではどのような講演をされているのですか? やはり工学部や工学系の専門学校などが多いのでしょうか?

中山:そうとも限らないです。工学部から呼ばれることもありますし、経済学部からお声がかかることもあります。その辺は幅広いですね。講演内容は、iPhoneやiPadなど、モバイルインターネットの未来といったテーマで話すことが多いです。例えば歯学部や医学部などでは、「医療の現場で今後はこういうタブレット端末で医療画像を見ていく、診断していく時代が来る」など、学部ごとにテーマを決めて、最先端のデバイスがこれからどう使われるか、といった内容で講義しています。

古川:いろいろな企業や大学、専攻など講演を聴く人にあわせて、より身近な事例を用意して説明されるのですね。

中山:そうです。ですから、年間300回の講演用に、資料も300ファイル作らなくてはなりません。話す内容も長さも毎回違いますし、参加される方の層も違いますから資料の使い回しができないのです。オフィスにはほとんどいませんので、資料は基本的には移動の新幹線の中で作ります。場合によっては、当日、講演会場でその日参加される人のリストを見せてもらって、その場で資料を編集することもあります。製造業の方が多いようなら製造業向けの事例を多めにしたり、ある地域の方が多いようならその地域の事例を入れたりという形です。

古川:企業向け講演やセミナーの内容は、やはり主にiPadとかiPhoneのお話が多いのでしょうか。

中山:以前はそうでした。しかし、最近の講演依頼は「iPhoneやiPadをテーマに」というものはゼロになり、ペッパーとワトソンの話の依頼が圧倒的ですね。やはり世の中は動いているので、iPhoneやiPadのことはだいたいみなさんご存じです。インターネットでも調べられますしね。私は、常に新しいものを牽引しているソフトバンクのエヴァンジェリストとして、やはり常に最先端の部分、「ちょっと先の未来はこうなるんだよ」というところを示していくのが役割だと思っています。お客さまも、今の最先端、それが導く未来予想を知ることができると嬉しい、と期待してくれているのだと思います。
(次回に続く)

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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部