2020年東京オリパラが「AI/IoT×障害=?」の答えとなる理由

【連載第5回】IoT/AIによる「障害者のソーシャル・インクルージョンの実現」を目的に設立された「スマート・インクルージョン研究会」代表の竹村和浩氏による連載第5回。今回は、同研究会発足のきっかけと当プロジェクトの意義について語っていただきます。

今私が推進しているこのプロジェクトには、大きく2つの狙いがあります。それは、

1. スマート化技術の国内統合が可能になる
2. インクルージョンという言葉が日本全体に広まる好機となる

ということです。

1.の「スマート化技術の国内統合が可能になる」とは、つまり、スマート化(社会の自動化)こそが、世界の次世代成長産業の本命であり、おそらく日本が経済成長するラストチャンスである。しかも、障害者の最大の悩みである、親亡きあとを託せるのは、この社会の自動化の力が大きな助けとなる。という考えです。

2.の「インクルージョンという言葉が日本全体に広まる好機となる」。これは、障害者の視点からの技術開発が、日本のIoT/AI技術の質の向上に大きく役立つということ。また、東京だけでなく、日本中、世界中が注目するオリパラというイベントの選手村が(障害者の視点からという意味で)「インクルージョン」という言葉を使用してくれれば、一気に、「インクルージョン」という言葉が日本中に広まる契機となる、という考えです。

1980年に、障害の定義についての大きな転換がなされました。それは「障害は、その人本人にあるのではなく、“障害のある人を受け入れられない社会の仕組み”にある」、というものです。いわゆる、impairment (医療モデル)から、disability(社会モデル)への180度の障害の定義の転換です。
一昨年日本も批准した、UNCRPD:国連障害者人権条約(United Nations Convention of the Rights of the People with Disabilities.)は、まさにこの考え方に、基づいて作られました。
ここには、すべての障害のある人たちのインクルーシブ教育へのアクセスが謳われており、“社会の側にある障壁”を如何にして取り除いていくか、その規範が書かれてあるのです。

社会の側にある障害、障壁をなくし、障害を持つ人々が心から安心して暮せる安全な街・社会。その基盤となるのが「スマート・インクルージョン」であり、それを実現し世界にアピールする千載一遇のチャンスが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックである。そうした確信を持って、私は日々活動しているのです。

(次回へ続く)
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グーテンブック編集部 グーテンブック編集部