書籍化・出版にかかるお金の話【出版社をやってみて分かった「本と企画のつくり方」】

【第5回】この連載では、本Webサイト「biblion」も運営している出版社(株式会社masterpeaceと申します)でこれまで100冊ほどの書籍企画・編集・発行をお手伝いさせていただいた筆者(代表兼編集者をやっております)が、自社でお手伝いさせていただいた企画やプロジェクトの経験からお伝えできる範囲で「シンプルな本づくりのポイント」をお話させていただきます。

ハード(モノとしての本)を作るために必要な費用

印刷・製本にかかるコストは、ハード(モノとしての本)を作るためにかかる費用です。
ハードの費用は、ページ数や作成部数、どういう印刷方法を選択するかによって変わります。

*オンデマンド印刷

必要なときに必要な部数の印刷を行う、高速デジタル印刷機による印刷のことを指します。この仕組みを利用して少部数の書籍や雑誌を印刷・作製することをオンデマンド印刷といいます。
オンデマンド印刷の場合、少ない部数の印刷が可能になりますが、単価は部数によらず一定なので、たくさん印刷しても印刷原価(単価)は下がりづらくなります。

*オフセット印刷

従来のインキを紙に転写する印刷は、版を印刷機に取り付けて印刷するため、版の作成費用がかかりますが、部数が多ければ多いほど1冊当りの単価が安価になります。ただし、小部数だと単価はかなり高額になってしまいます。
印刷後、インキを乾燥させるという工程なども経るため、印刷データができてから印刷物になるまでに一般的にはオンデマンド印刷よりも長く時間がかかる傾向にあります。

弊社では、感覚的には1000部を超えるくらいではオフセット印刷を選択します。600~800部あたりはどちらでやっても1冊当たりの印刷コストが大きくなりがちで、一番損した気持ちになります。

また、本は、原稿を印刷して完成、とはなりません。バラバラに印刷された紙をまとめて表紙をつけ、本として組み込むための「製本」という工程があります。
製本にも種類があり、ハードカバーと言われる「上製本」や、比較的簡易でリーズナブルに作ることができる「並製本」などがあります。また、表紙カバーや帯の作成にも手間や製作費用がかかります。

販促・宣伝にかかる費用

販促・宣伝にかかる費用は、販促・宣伝にどれほど力を入れるのかによって大きく変わります。基本的な費用としては、本を取り扱ってもらうための書店への営業に必要な人件費や、プロモーションにかかるコストがあります。また、新聞や雑誌の書評、書評サイトで紹介してもらいたい場合は、献本用の本の準備や郵送にもコストがかかります(取り上げる本は先方で選定しますので、献本しても紹介されるとは限りません)。

Web書店に対する販促活動としては、キャンペーン掲載の調整や、Web広告の実施などが考えられます。Amazonの書籍広告の場合、Amazon上での検索キーワードに応じて、登録した書籍を表示するといった広告を掲載し、クリックされた回数に応じて費用負担することができます。

また、書籍発行を広く知らせる目的で、プレスリリースを作成し、各メディアに送るといったことも宣伝の一つとしてよく実施されます。

<書店に並べるときにやること>
・書店営業
・ポスターや販促物
・雑誌や新聞の書評(献本する)

<Web書店中心に流通している弊社がよくやっていること>
・プレスリリースを作って、各種Webメディアに掲載してもらう。
・Web広告(クリック課金でお金を払う)Amazonの広告やGoogleの検索広告など。
・Web書店のキャンペーン掲載

費用の負担とリターン

これらの費用をだれが負担するか、、というのは「企画内容」や「出版スキーム」によって変わります。

 1:出版社が全部を負担する。(いわゆる商業出版)
 2:著者が全部を負担する。(いわゆる自費出版と呼ばれる出版方法です)
 3:出版社と著者で分担する。
 4:他の方法で費用を調達する(クラウドファンディングでまかなう、など)

本を制作する最初の工程である企画づくりで、費用の負担については明確にしておくとよいでしょう。

費用の負担方法によって、リターン内容が変わることもあります。たくさんリスク(コスト)を負う場合は、その分リターンもほしいですよね。

 ・著者さんが大きく負担して、リターンも著者さんが大きくもらう。
 ・出版社が大きく負担する場合は、リターンも出版社が大きくもらう。

ビジネスで考えると当たり前の構図ですが、本を制作する最初の段階で、どのような負担方法が企画に合っているかも考えておく必要があります。

弊社の出版サービス「グーテンブック」では「電子書籍で15%前後・印刷書籍で10~15%程度」をお支払いしています(ページ数等によって製造原価の構成が変わるため、変動はあります。また記事冒頭でご説明したリスクをどう負うかによっても変わります)。一般的には、紙の書籍の印税は「10%」であることが多いように思います。

電子書籍の印税は、高い出版社さんはぐんと高いですし、Amazonの電子書籍Kindleに、Kindle限定で直接流通(出版社を通さずに)させた場合、70%という高い印税を手にすることもできます。

ただ、これもビジネスモデルをどう作るかによって変わってくるお話です。弊社の企画で、生まれた収益を著者さんとビジネスパートナーとして、単純に折半している企画もあります。
これは、販促や在庫管理にかかるコストも計上したうえで、利益を分配するという、ビジネスとしての組み方です。

今回は、本作りにかかるコスト全般についてご紹介させていただきました。

本づくりをお考えの方は出版サービス「グーテンブック」まで

著者:窪田篤

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